もくじ
宗派によって違うおりんの正しい鳴らし方とお作法を解説
おりん本来の澄んだ音を響かせるためには、正しく鳴らす必要があります。また、宗派によって決まったお作法があるため、ただ鳴らすだけではマナー違反になってしまうことも。
おりんの正しい鳴らし方とお作法を宗派別に解説します。
基本的にりん棒は力を入れずにつまんで優しく叩く
おりんはりん棒(リン棒)と呼ばれる棒を使って鳴らしますが、ただ音を出せばいいわけではありません。
おりんの音をより美しく響かせるためには、りん棒を正しく扱う必要があります。
りん棒は上部を親指と人差し指で優しくつまむように持ち、おりんの外側もしくは内側を優しく叩きましょう。
真上から縦方向におりんの縁を叩いてしまいがちですが、本来の音色が響かないので外側もしくは内側を叩きます。
そもそも縁を叩いてしまうと、りん棒が傷ついてしまう可能性があるため、縁はあまり叩かないほうがよいでしょう。
なお、外側か内側のどちらを叩くかは、宗派や地域の風習によって異なるので、無宗教の人や地域の風習が特にない場合はどちらを叩いても問題ありません。
おりんを鳴らす回数は宗派によって違う
仏壇へお参りをする際は、お線香をあげた後に合掌をする前におりんを慣らします。なお、おりんを鳴らす回数は宗派によって違います。
弔問先でお線香をあげる際は、必ず弔問先の宗派を確認してからお線香をあげてください。
無宗教の場合は特に鳴らす回数などは決まっていないので、1~2回くらいで問題ありません。
真言宗〜おりんを2回鳴らす
真言宗ではおりんを2回鳴らします。1回目を音を響かせる程度に優しく叩き、2回目は少し強く叩きましょう。
曹洞宗〜お寺によっておりんを鳴らす回数が異なる
曹洞宗ではお寺によって鳴らす回数が異なります。3回鳴らすお寺もありますが、おりんの内側を2回鳴らすと決まっているお寺もありますので、予め確認をしておきましょう。
浄土宗〜経本に記されている回数分おりんを鳴らす
浄土宗はお経を唱えることを重視しているので、おりんは読経のときにしか鳴らしません。読経のときは、経本に記されている回数分だけおりんを鳴らします。
そのため、お参りではおりんを鳴らしません。
浄土真宗〜おりんを鳴らさない
浄土真宗はお経を唱えることを重視している宗派です。おりんを鳴らすこと自体は重視されておらず、おりんを鳴らしても鳴らさなくても故人は全て仏になれるという考えを持っています。
そのため、浄土真宗では邪念を祓ったり、祈りを極楽浄土へ届けることを目的におりんを鳴らしません。
なお、浄土真宗では勤行と呼ばれる、朝晩に御本尊に向かって法華経の寿量品・方便品を読み、南無阿弥法華経と題目を唱える際にのみおりんを鳴らします。一方、合掌のみをする場合はおりんを鳴らしません。
- 御本尊:最も大切な信仰の対象である仏像や経典、仏塔、お守り、仏や菩薩などの彫刻・絵画など
- 法華経:大乗仏教の代表的な経典のこと
寿量品と方便品は法華経の中でも、最も重要なな法理が説かれている部分であり、ほかの品(章)の意味も備わっているため、勤行では寿量品と方便品を読みます。
弔問に伺った際はおりんを鳴らす
なんらかの事情があり葬儀に行けなかった場合、後日故人の自宅に弔問する場合もあるでしょう。お線香をあげた際は、おりんも鳴らしましょう。
ただし、故人の宗派が浄土宗や浄土真宗の場合は鳴らさなくても良いです。
宗派によって「おりん」の呼び方は違う
宗派によっておりんの鳴らし方が異なりますが、実は「おりん」の呼び方も違います。仏具店などでは平仮名やカタカナで表記されていることが多いですが、「鈴」「鏧」「鐘」など宗派によって漢字が違い、読み方も異なります。
例えば、日蓮宗では「鈴(りん)」。天台宗や浄土真宗では「鏧(きん)」、浄土宗では「小鏧(しょうきん)」と呼ばれています。
おりんの種類やりん台、りん布団も宗派によって異なるため、購入する際は自分の宗派を確認しましょう。お寺によっても多少の違いがあるので、お寺に直接聞いてみるのが一番安心です。
おりんの正しい鳴らし方は宗派によって異なる
おりんは正しい鳴らし方をすることで、本来の澄んだ音を響かせることができます。なお、間違った鳴らし方をすると本来の音が響かないだけでなく、りん棒やおりんが傷ついてしまう可能性があるため注意が必要です。
りん棒の持ち方や叩き方は基本的に同じですが、宗派によって叩く場所や鳴らす回数が異なるので、必ず宗派の習わしを確認してからおりんを鳴らしましょう。
浄土宗や浄土真宗など、そもそもおりんを鳴らさない宗派もあるので、事前にお作法確認しておくと安心です。