仏壇に置く金属製の仏具を「おりん」と言い、澄んだ音は人々の邪念を払ったり、祈りを極楽浄土まで届けると言われています。
おりんはお線香をあげるときに鳴らすイメージがありますが、本来は読経の区切りに鳴らすものです。宗派によって鳴らし方が異なり、お線香をあげるときは鳴らさない宗派もあります。
おりんの正しい鳴らし方と作法を、宗派別に詳しく解説します。
おりんの役割・鳴らす意味を解説
チーンと澄んだ音を響かせる仏具の「おりん」は、ただ綺麗な音を鳴らすだけのものでなく、役割や意味があるものです。
おりんの役割と鳴らす意味について解説します。
本来は読経の始まりと終わりを区切るために鳴らすもの
おりんは仏壇に欠かせない仏具なので、お線香をあげるときに鳴らすイメージがありますが、厳密に言えばお参りのときではなく読経のときに使うものです。
また、読経の際におりんを鳴らしたら合掌をすると思われがちですが、おりんは合掌をする合図で鳴らすものでもありません。
本来、おりんは読経の始まりと終わりを区切るために鳴らすものです。宗派やお寺によってタイミングは少々変わりますが、読経のひと区切りの合図として鳴らします。
そのため、合掌をするだけならおりんを鳴らす必要はありません。
本来の使い方をするのであれば、お経や正信偈を読むときに鳴らすとよいでしょう。
澄んだ音で人々の邪念を祓ったり、祈りを極楽浄土へ届ける役割も
おりんには読経の区切りを表す役割以外にも、澄んだ音によって人々の邪念を祓う役割もあります。
邪念とは人が持っている悪意やたくらみなどの邪(よこしま)な考えや、雑念のことです。
お線香には煙があの世とこの世の架け橋となり、煙を通じて仏様と心を通わせる意味があると言われています。さらにお線香には、上品な香りによって自分自身の身体や空間を清浄し邪念を祓う役割もあります。
そしておりんにも、お線香の煙と同じように澄んだ音が、人々の心を癒やし邪念を祓うと言われているのです。
また、おりんの音には供養や祈りを極楽浄土に届ける役割もあると考えられています。
おりんを鳴らす際に合掌をするのは、音に乗せて気持ちを極楽浄土に届けているからです。
極楽浄土に届ける祈りに邪念は必要はありません。美しい音を聞いて邪念を祓い、仏様や故人への思いを込めて、おりんを鳴らしましょう。
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