迎え盆のやり方と事前準備について解説!正しくご先祖様を迎えるためには?

投稿:2020-10-29
迎え盆のやり方と事前準備について解説!正しくご先祖様を迎えるためには?

お盆は、ご先祖様の霊があの世からこの世へと帰ってきてくれる期間として広く知れ渡っており、その中でもお盆の初日は「迎え盆」と呼ばれています。

迎え盆は、私たちがご先祖様の霊を迎え入れ供養できるよう、盆棚と呼ばれる祭壇を作ったり、送り火と呼ばれる行事を行ったりする特別な日。

手厚く供養するためには、事前の準備が大切です。また、初盆の場合は自宅やお墓でお経を読んでもらうことも多いため、早めにお寺と打ち合わせをしてスケジュールを確保しておく必要があります。

迎え盆について、必要な準備や品物、また行事のやり方などを詳しく解説します。

迎え盆の日程と準備しておくことを解説

迎え盆とは、一般的にお盆の最初の日のこと、またそのお盆最初の日に行う儀式や行事のことを指します。

日本では、古くからお盆にはご先祖様の霊があの世からこの世へ戻って来てくれるという信仰があります。

そのため人々は、お盆の初日にはご先祖様の霊が迷うことなく自分たちのところへ戻ってこれるようにと、供養と感謝の気持ちを込めて様々な準備をしてから、ご先祖様の霊を迎え入れてきました。

ご先祖様の霊を迎え入れるのための一連の準備は儀式化され、今に伝わっています。

具体的な迎え盆の日程と、準備しておくことについて解説します。

迎え盆となる日は地域によって違う

実は、お盆の時期は地域によって異なります。基本的には旧盆である8月13日か、新盆の7月13日です。

例えば、旧盆(8月13日~16日)をお盆の時期としている地域では、8月13日が迎え盆、新盆(7月13日~16日)をお盆の時期としている地域では、7月13日が迎え盆となります。

他にも、旧盆・新盆以外の時期をお盆としている地域もあるので、引っ越してきたばかりで、自分の住む地域のお盆がいつなのかわからない等といった場合は、周りの方に尋ねてみるとよいでしょう。

迎え盆のために準備しておくことはたくさんある

迎え盆の日までに準備しておくべき事や物について解説します。

法要の準備・お寺(僧侶)との打合せを済ませておく

お盆に法要や読経を自宅やお墓の前でしてもらうことを考えている場合は、なるべく早めにお寺に相談し、打ち合わせをするようにしましょう。

初盆(故人がなくなってから初めて迎えるお盆)は特に大切と考えられるため、法要や読経をしてもらう場合が多いです。

お盆の時期はお寺と僧侶の方が一年で一番忙しい時期。直前の相談になってしまうと、お勤めをしてくれる僧侶の方が見つからないという事態になりかねません。早めの相談を心がけましょう。

盆棚(精霊棚)の支度をする

盆棚とは、ご先祖様をお迎えするために、お供え物や飾り、仏具や位牌を置くための祭壇です。精霊棚とも呼ばれています。

置く場所は地域や家庭などによって異なりますが、仏壇の前や玄関などに置くことが多いです。

飾り方も地域によって異なりますが、最近では住宅事情やライフスタイルの変化により、大きなスペースにたくさんの品物を用意することは難しいでしょう。

そこで、盆棚の支度のために特に用意しておくと望ましい物を下記で解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

1. 敷物・ござ

ござや、真菰(まこも)で編んだ敷物を敷きます。

2. 小さな机

敷物の上に、経机や小机等、小さな机を置きます。そして、位牌を机の中央に置きましょう。

3. お供え物・お供えの花

季節の野菜や果物、故人の好物などを用意して、お供え物として机に置きます。お供えの花は、蓮やユリ等のお盆の花の他に、故人が好きだったお花でも良いです。

4. 精霊馬

精霊馬は、ご先祖様の霊があの世からこの世へすこしでも早く帰って来られるようにという願いを込めて、足の速い動物である馬に見立てて作られる飾りです。

きゅうりにおがら(麻の皮を剥いだ茎の部分)を4本挿して、机の上に飾ります。おがらは、花屋や、お盆の時期が近づくとスーパー等でも入手できます。

▼精霊馬の作り方はこの記事をチェック!
精霊馬(しょうりょううま)は地域と宗派で差異がある|置き方と作り方を解説

5. 盆提灯

盆棚の脇には盆提灯を用意します。盆提灯は、お盆にご先祖様の霊が迷うことなく帰ってこれるようにという願いを込められたものであり、お盆の期間はずっと灯しておくものです。

灯は火と電気のタイプがありますが、近年は、電気タイプがよく選ばれます。

盆提灯には白色無地のものと柄の入ったものがあり、初盆は白色無地のもの、その後は柄の入った提灯使うのが望ましいとされていました。近年では徐々に簡略化され、初盆から柄入りの提灯を使うことも多いです。

盆提灯は、仏壇屋・仏具屋で入手することができます。

もし、より本格的な盆棚をつくりたい場合は、上記の品物の他に、下記のような品物も用意しお供えしましょう。

●笹竹
棚の四隅や両側に立て、上部に縄を張ります。結界を見立てています。

●鬼灯(ほおずき)
盆提灯を模しています。笹竹に張った縄に結びつけて吊り下げます。

●水の子
洗った米と、賽の目に切ったきゅうりや茄子を蓮の葉の上に盛り付けたお供え物です。

●閼伽水(あかみず=浄水)とみそはぎの花
器に閼伽水を入れ、みそはぎの花を5輪ほど浸しておきます。

●素麺
精霊馬の手網に見立てています。

迎え盆、送り盆の正しいやり方

迎え盆、送り盆の正しいやり方

迎え盆の当日、お墓参りをし、盆棚の設置ができたら、夕方に迎え火を焚いてご先祖様の霊を迎え入れます。

迎え盆のやり方とその流れ

迎え盆の当日、午前中は「お墓参り」をします。

掃除道具を持参し、お墓をきれいにして、気持ちよくご先祖様を迎え入れられるようにしましょう。

盆棚にお供え物を用意するのであれば、お墓には必ずしもお供え物は必要ありません。

お墓が菩提寺の境内にある場合や、菩提寺がお墓の近くにある場合は、菩提寺にもお参りをします。

お墓参りが終わったら、日中には「盆棚」の設置し、家にご先祖様がを迎え入れられるようにしましょう。その後、日が暮れたら家の門前や玄関で迎え火を焚きます。

迎え火は、焙烙(ほうろく=素焼きの土鍋の一種)におがらを折って積み重ね、火をつけて燃やします。

迎え火を焚くことで、ご先祖様の霊は迎え火の明かりを頼り、迷わず私たちのもとに辿り着くことができるのです。一説では、燃やしたおがらの煙に乗って家に帰ってくるともいわれています。

焙烙は、仏壇店や仏具屋で販売しているので、迎え盆までに入手しておきましょう。

迎え盆をする際の注意点〜火の取り扱い

迎え盆をする際は、火の取り扱いに注意が必要です。

おがらは燃え広がりやすい植物です。風向きや、周囲に引火するものがないかを十分に確認した上で迎え火を焚きましょう。

また、マンションやアパートなど、火を焚くのに十分なスペースが確保できない場合は、小さな火にしておくか、無理せずに迎え火は省略して提灯の明かりだけを付けるだけでも良いでしょう。

一番大切なのは「帰ってきてくださり、ありがとうございます。」と、ご先祖様に感謝し手を合わせる気持ちです。

送り盆と迎え盆の違い

お盆の初日には、ご先祖様の霊を迎え入れるために迎え盆をする一方で、お盆の最終日には、ご先祖様の霊をあの世へとを送る儀式を行うことも大切です。

お盆の初日である迎え盆に対して、お盆の最終日は「送り盆」と呼ばれ、ご先祖様が無事あの世へ帰ることができるるように儀式を行います。

送り盆と迎え盆との違いについて、解説します。

精霊馬〜行きは足の早い馬、帰りはあゆみの遅い牛

迎え盆では、ご先祖様に早く帰ってきてもらえるようにという願いを込めて精霊馬を作り飾りました。送り盆では逆に、ゆっくりとあの世に帰ってもらえるように、精霊牛を作り盆棚に飾ります。

精霊馬が足の速い馬を見立てているのに対し、精霊牛は「ゆっくり」ということで、歩みの遅い牛を見立てて作る飾りです。精霊牛は茄子におがらを4本挿して作ります。

送り盆の日になったら盆棚に飾りましょう。

送り火〜行きは無事にたどり着けるよう、帰りは迷わず戻れるように

迎え盆では、ご先祖様の霊が迷わずにたどり着けるようにと願いを込めて迎え火を焚きましたが、送り盆では、今度は帰り道を照らし迷わずにあの世へと戻っていただけるようにと願いを込めて火を焚きます。この火が「送り火」と呼ばれるものです。

送り火は、迎え火と同じ要領で火を焚きます。

ちなみに、精霊馬と精霊牛の片づけ方として、送り火で焚きあげるという方法があります。

他には、菩提寺に納めたり、土に埋めたり、川や海に流すといった方法もあるので、地域の慣習や環境条例等を確認して方法を選びましょう。

また、初盆でのみ使用することのできる白色無地の提灯についても、送り火で焚き上げたり、菩提寺に納めたりといった方法があります。

まとめ|大切なのはご先祖さまへの感謝の気持ちを忘れないこと

迎え盆は、地域や家庭によって日程や形式などに違いが出る行事ですが、「ご先祖様の霊をきちんとあの世から迎え入れるためのものである」という主旨は共通しています。

また、迎え盆は精霊馬や迎え火等、独特な物や行為を必要とされる行事であるため、面白さや珍しさを感じさせる行事でもありますが、そうした目に見えるものだけでなく、目に見えないご先祖様の霊に想いを馳せることがより大切です。

お盆は親族や家族が集まり団欒の時間を過ごすことのできる貴重な期間です。

ご先祖様への感謝と供養の気持ちを忘れずに、心を込めて迎え盆を行い、充実した時間を過ごせるようにしましょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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