終活カウンセラーとは「終活」をサポートするお仕事です。
近年「終活」という概念が急速に浸透し、終活を始めようと考えている人も増えてきました。
ただ、「終活」と一口に言っても、実際に何をしたらよいのか分からないという方が多いのが実情・・・。そこで生まれたのが「終活カウンセラー」という資格です。
終活カウンセラーとはどのような仕事なのか、必要な資格はあるのかなど詳しく解説します。
もくじ
終活カウンセラーが生まれた背景や仕事内容について解説
終活カウンセラーは、2011年に設立した「一般社団法人 終活カウンセラー協会」が認定する資格です。
一般的に資格は「国家資格」「公的資格」「民間資格」の3つに分けられ、終活カウンセラーは「民間資格」に該当します。
まずは、終活カウンセラーが生まれた背景や仕事内容について解説します。
終活カウンセラーが生まれた背景を解説
終活カウンセラーは、終活を始めようとしている人の悩みに耳を傾け、その人の悩みを解消するために必要な専門家を紹介したり、精神的ケアをしたりする役割があります。
では、一体なぜ終活カウンセラーという資格が生まれたのでしょうか。
そこには、「人生100年時代」や「少子高齢化」といった現代ならではの理由が背景にあります。
1.人生100年時代|最期まで自分らしく生きたいと考える人が増えた
まず、人生100年時代と終活について解説します。
厚生労働省による平均寿命の年次推移によると、平成22年は男性が79.55歳、女性は86.30歳でしたが、令和元年には男性が81.41歳、女性は87.45歳。
平均寿命は年々延びていることがわかります。海外の研究によると、日本で2007年に生まれた子どもの半数が107歳以上長く生きるという研究結果もあるのです。
ひと昔前は「死」について話すのは縁起が悪いことだとされていました。日本特有の「言霊」という考えがあるからです。
しかし、「死」は誰にでも平等に訪れるもの。何もせずいつか来る最期の日を待ち続けるのではなく、悔いを残さず、最期の日まで自分らしく生きる為に終活をしたいという人が増えてきました。
2.少子高齢化|子供の負担を軽減させたい
もう一つは、少子高齢化という社会問題です。
現代では、子どもが1人という家庭が珍しくありません。自分自身が最期の日を迎えた時、お墓、葬儀等の様々な負担が子どもに圧し掛かることを懸念する人が増えてきました。
以前は、お墓や葬式の手配は残された遺族がするものという考え方でしたが、子どもの負担を軽減させる為、生きているうちに自分自身で手配をする人が多く、終活は家族に対する思いやりであると言えるかもしれません。
このように人生100年時代、少子高齢化社会の今、終活を始めたい人は増えています。
しかし、終活と一口に言っても具体的にどのようなことをするべきか分からない人は非常に多いでしょう。
そこで、生まれたのが終活カウンセラーです。終活カウンセラーは終活を始めたい人の悩みや不安を解消させ、前向きに最期の日を迎える為の手助けをする役割があります。
現状では終活カウンセラーという資格の認知度は高くありませんが、子どもの数が減少し、平均寿命が延び続ける中、今後はさらに需要が高まると予測されます。家族だけではなく、自分自身の将来の為にも終活カウンセラーは役立つ資格となることでしょう。
参考:厚生労働省 令和元年簡易生命表の概況・厚生労働省 「人生100年時代」に向けて
終活カウンセラーの仕事内容を解説
終活カウンセラーは、終活を始めようとする人が持つ漠然とした悩みにマッチする専門家や企業を紹介するという仕事です。
例えば、相続や遺言に関する相談であれば、行政書士や司法書士などの士業に、葬儀に関する相談なら葬儀社にというように、相談者の悩みを見極め、解決させる為の専門家を紹介します。
そのほかにも、エンディングノートに関する仕事もあります。
エンディングノートとは、いつか訪れる最期の日に向けて希望を書き記すノートです。残された家族に向けたメッセージや、相続、銀行口座、保険、医療、治療、自分にとって大切な連絡先、お墓や葬儀等、終活に関する様々な事項をまとめます。
本来、エンディングノートの書き方にルールはありませんが、自由に書けるものだからこそどのように書いたらいいのか分からないものでしょう。
終活カウンセラーはエンディングノートに関する知識を身に付け、階級によってはエンディングノートを実際に書き込んだり、アドバイスをすることができるのです。
相談者の悩みを見極めるには、じっくりと話を聞くというスキルを身に付ける必要もあります。聞き上手でなければ、相談者の悩みや不安を解消させることはできないからです。
このように、専門分野を極めるというよりも、終活に関する「相続」「遺言」「保険」「葬儀」「墓」「介護」「健康」といった広い知識を持ち、なおかつ相談者の話をじっくりと聞くことが終活カウンセラーとしての仕事になります。
終活カウンセラーに必要な資格や方法を解説
では、終活カウンセラーになる為にはどのような資格が必要になるのでしょうか。資格の取得方法とあわせて解説します。
終活カウンセラーに必要な資格を解説
終活カウンセラーは下記の3つの階級があります。
- 初級 終活カウンセラー
- 上級 終活カウンセラー
- インストラクター養成講座終活カウンセラー 上級インストラクター
「初級 終活カウンセラー」は終活に関する基礎知識を得て、自分自身のエンディングノートを作ることができる資格です。知識を得るためのものなので、実際にカウンセリングを行うことはできません。
初級資格の難易度は低く、合格率もかなり高いです。
試験合格後、終活カウンセラー協会に会員登録することにより、「初級 終活カウンセラー」に認定されます。その際、月額400円、毎年4,800円を支払う必要があります。
「上級 終活カウンセラー」は、エンディングノートを実際に書くこと、エンディングノートを含めた終活に関するアドバイスをする知識やスキルを得ることができる資格です。初級資格よりも知識を深めることができるでしょう。上級資格の試験は年間で2回行われます。
最後に「インストラクター養成講座終活カウンセラー 上級インストラクター」ですが、資格取得すると講師を務めることができます。この資格は、終活カウンセラーを育てるために必要なものです。
このように終活カウンセラーの資格は3つの階級に分けられますが、まずは「初級 終活カウンセラー」の資格取得を目指します。
資格の取得方法と費用を解説
では、どのような手順で資格取得することができるのか、階級ごとに解説していきます。
初級 終活カウンセラー
「初級 終活カウンセラー」の資格を取得するためには、終活カウンセラー協会のホームページから受講申し込みをする必要があります。
受験料を支払うとテキストが送られてくるので、試験当日まで自宅で勉強。初級資格では、テストのポイントが書かれているテキストや練習問題も付いてくるので初心者でも勉強しやすいです。
試験当日は約6時間講習を受け、その後筆記試験が行われます。初級資格は1日で資格を取得することができます。
受験料は税込9,970円。受験料には試験代だけではなく、お弁当代も含まれます。
上級 終活カウンセラー
「上級 終活カウンセラー」は「初級 終活カウンセラー」の資格取得者で、なおかつ終活カウンセラー協会が開催する講習会やセミナーに参加したことがある方が応募できる資格です。
上級資格には、1次試験があります。1次試験では、まず事前レポート提出が必要となり、後日郵送で合否が知らされます。合格後、2次試験を受けることができるのです。
費用は、事前審査費が3,000円、受験料が税込み45,000円。受験料には講習代や試験代、お弁当代が含まれます。合格すると上級 終活カウンセラーに認定されます。
インストラクター養成講座終活カウンセラー 上級インストラクター
「上級 終活カウンセラー」の資格を取得した後、「インストラクター養成講座終活カウンセラー 上級インストラクター」の資格取得にチャレンジする方が多いようです。
資格取得するには、勉強会に年間2回以上受講したことがある、なおかつ「エンディングノートの書き方セミナー講師養成講座受講者」に参加する必要があります。
講習は4日間行われ、その後試験を受けることになるでしょう。
講習時間は下記の通りです。
- 1日目 10:30~18:00
- 2日目 9:30~17:00
- 3日目 10:30~18:00
- 4日目 9:30~17:00
試験は1日30分程度。
「インストラクター養成講座終活カウンセラー 上級インストラクター」の受験料は税込250,000円、中には試験代と資料代が含まれます。
終活カウンセラーが生かせる仕事
現在は、まだ終活カウンセラーとしての求人はありません。しかし、資格を持っていると様々な仕事に生かすことができます。
例えば、葬祭業や石材業、保険業、金融機関、弁護士や行政書士などの士業です。
中でも葬儀やお墓に関して言えば、終活を始めようとする相談者の多くはぼんやりとしたイメージを持っているものの、具体的にどのようにしたいかという理想は固まっていません。
そこで終活カウンセラーとして相談者の話を聞くことで的確なアドバイスをし、イメージを実現させるための手助けを行うことができるのです。
また話を聞くスキルを持つ終活カウンセラーは、相談者との信頼を得られやすいというメリットもあるので葬祭業以外でも幅広い分野で生かすことができるでしょう。
終活カウンセラーと似ている資格
終活カウンセラーと似ている資格は他にもあります。どのような資格があるのか、下記にまとめました。
- 終活ガイド
- 終活アドバイザー
- 終活ライフケアプランナー
- 終活マイスター
- 終活診断士
- 終活士
これらは終活カウンセラーと同じく、全て民間団体が認定している民間資格です。仕事内容は似ていますが、受験料や資格取得方法等はそれぞれ異なります。
まとめ〜終活を始めるなら終活カウンセラーを使うのもひとつの手
終活カウンセラーの仕事は、終活の悩みを解消する為に必要な専門家を紹介したり、相談者の話を聞き、精神的なケアをしたりするというものです。
エンディングノートを作成するための知識を得ることも、資格内容に含まれます。
終活カウンセラーは「初級 終活カウンセラー」「上級 終活カウンセラー」「終活カウンセラー 上級インストラクター」の3階級。終活に関連する資格には終活カウンセラーの他にも、終活ガイド、終活アドバイザー、終活ライフケアプランナー、終活マイスター、終活士、終活診断士があり、これらは全て民間取得となりますが、受験料や資格取得方法は異なります。
生きている限り、必ず訪れる最期の日。
終活は、悔いを残さないよう最期まで自分らしく前向きに生きるために必要なものです。終活を始める時は、終活カウンセラーに相談するか、自ら資格を取得してみても良いでしょう。