高齢化と核家族化が進む現代において、遺品整理士の需要が高まっています。
かつては故人が遺した物を整理したり、部屋を片付けたりするのは遺族が行うことが当たり前でしたが、さまざまな事情でプロに遺品整理を依頼するケースが増えてきました。
近年ではメディアに取り上げられ、映画やドラマの題材にされることも増えており、遺品整理士は将来性のある仕事として今後もますます注目を集める可能性が高いでしょう。
遺品整理士はどのような仕事を行うのか、基本的な仕事内容や遺品整理士になる方法を解説します。
もくじ
遺品整理士の基本的な仕事内容とは
近年、高齢化や核家族化が進んでいる影響で、遺品整理士の需要が急増しています。
そもそも遺品整理士とはどのような職業なのでしょうか?遺品整理士の基本的な仕事内容を解説します。
遺品を必要品と不用品に仕分けて片付ける
遺品整理士とは、故人の遺品を残しておきたい必要な品と、処分してもいい不用品に仕分けて片付ける職業です。
遺品整理は遺族の方が行うことが当たり前でしたが、遺品があまりにも多い、どれも思い出深く処分しにくいなど、さまざまな理由で遺品整理士に依頼するケースが増えています。
遺品整理士の仕事は企業によって多岐に渡り、遺品を整理することが基本的な仕事ですが、不用品回収や供養など遺品整理に付随する仕事も発生するケースも多いです。
不用な品の回収や売却の代行手続きを行う
遺品整理士は不用品を処分するだけでなく、回収したり売却を代行したりするケースもあります。
遺族にとっては不要なものでも、コレクターにとっては価値が高いものもあるので、買い取りや売却を含めて依頼されるケースも。
また、大型の家具や車、バイクなどを処分する際の手続きも遺品整理士が代行する業者もあります。
遺品の回収や売却自体を行っていない業者や、遺品整理士以外が代行する業者もあるので、遺品整理士の仕事範囲は所属先によって大きく異なると言えるでしょう。
故人が生前使用していた物の供養(お炊き上げ)を行うケースもある
愛用していたメガネやお気に入りのぬいぐるみなど、故人の思い入れが強い遺品を処分する際は供養(お焚き上げ)する必要があります。
遺品の供養は僧侶が行うのが一般的ですが、遺品整理士が遺品供養が可能な業者や寺院を手配することも。
中には遺品整理士自身が遺品の供養を行う業者もあります。
遺品整理士が整理後の清掃(特殊清掃)を実施している業者も
孤独死や事件などで亡くなった現場は、遺体の腐敗が進んで臭いや汚れが取れないなどの理由で特殊清掃が必要です。
遺品整理業者の中には遺品整理をするとともに、整理後の部屋の特殊清掃を遺品整理士が行う業者もあります。
遺品整理業者によってサービス内容が違うので、全ての遺品整理士が特殊清掃を行うわけではありません。しかし、遺品整理と特殊清掃をセットで依頼できる業者の場合は、遺品整理だけでなく特殊清掃の知識や技術を身に付ける必要があります。
遺品整理士の給料や仕事の安定性について解説
遺品整理士の仕事は多岐に渡るうえに、とてもデリケートな仕事です。遺品整理や供養に関する知識以外にも、さまざまな知識や技術が必要なので、ラクに働けるわけではありません。
では、さまざまな知識や技術が必要な遺品整理士は、どれくらい給料がもらえるのでしょうか?
遺品整理士の給料について、仕事の安定性とともに解説します。
遺品整理士の年収は約400~800万円程度
遺品整理士の平均年収は約400~800万円程度です。平均月収は約23~40万円程度になります。日本人の平均年収が348~613万円なので、遺品整理士になったら平均以上の給料が期待できると言えるでしょう。
ちなみに、年代別の平均年収は20代が348万円、30代が444万円、40代が510万円、50代以上が613万円でした。
※参照:【doda】平均年収ランキング(年代別・年齢別の年収情報)
遺品整理は故人や遺族の気持ちを理解しながら行う、とてもデリケートな仕事です。
特殊清掃や遺品の供養など特殊な技術が求められるケースもあるので、平均以上の給料が期待できるようです。
需要が高まる可能性が高く安定して働ける仕事
平均以上の給料が見込める遺品整理士は、社会の高齢化や核家族化が進む現代において、今後ますます需要が高まる可能性が高い職業だと言われています。
高齢化が進むとおのずと死者の数も増えます。そして、核家族化が進むと遺族だけでは遺品整理が難しくなるケースが増えるでしょう。
死者が増えるのは高齢化と核家族化が進む現代では仕方ないことです。そして、遺品整理士は死者が増えるほど需要が高まります。
日本の人口減少は今後もますます進むと予想されているので、遺品整理士は長く安定して働ける仕事だと言えるのではないでしょうか。
遺品整理士になる方法とは
遺品整理士になるためには、ただ遺産整理の仕事をすればいいわけではありません。遺族の信頼を得られるような遺品整理士になるためには、きちんと知識や技術を身に付ける必要があります。
遺品整理士になるためにはなにをすればいいのか、遺産整理士になる方法を解説します。
遺品整理士になるには資格を取得する必要がある
遺品整理士になるためには、一般社団法人遺品整理士認定協会が発行する「遺品整理士」の資格を取得する必要があります。
資格の取得方法は、通信講座などを用いて養成講座を受講し、合格がもらえたら認定となります。なお、受講から資格認定までの目安は約1~2ヶ月ほどです。
認定証書が発行されると「遺品整理士認定協会」への加盟が可能になります。
遺品整理士の資格を取得していなくても遺品整理の仕事自体はできます。しかし資格を取得すれば、遺品整理の仕事に必要な知識やプロとしての信頼も得られるので、本格的に遺品整理士として仕事するなら取得するべきでしょう。
なお、実務経験がなくても受講可能なので、なにか資格を取得しておきたいと思っている人や、仕事の選択肢を広げたい人にもおすすめです。
実際に現場で活躍するなら遺品整理業者に入社する
資格を取得しただけでは遺品整理士として仕事をすることはできません。実際に現場で活躍するなら、遺品整理業者に入社しましょう。
もちろん、資格を持っていなくても入社は可能です。遺品整理業者で働く人の中には、遺品整理士の資格を取得している人も多いので、仕事をしながらアドバイスをいただいたり、知識を身に着けたりすることができます。
将来的に遺品整理士として独立をしたい人も、まずは遺品整理業者に入社して、現場での経験をしっかり積むことをおすすめします。
遺品整理士に向いているのは遺族の気持ちを考えられる人
遺品整理士は遺品を整理することが仕事です。遺品整理や供養に関する知識が必要なのはもちろんですが、仕事をするうえでは「遺族の気持ちをどれだけ考えられるか」が大切になります。
遺品はどれも故人や遺族にとって大切なものです。大切なものを扱うのですから、遺族の信頼を得て安心して任せてもらう必要があります。
やはり遺族の信頼を得るためには、どんなに遺品が多くて大変でも丁寧に作業をすることが重要です。ひとつひとつの作業をスピーディーかつ丁寧にできる人が、遺品整理士に向いている人だと言えるでしょう。
もちろん、実務経験を積んで知識を得ることで、遺族の気持ちを考えながら丁寧な作業ができるようになる人もいます。
しかし、自分の感情をうまくコントロールできない人は仕事に影響が出たり、遺族や故人の想いから影響を受けたりしやすいので、仕事がしづらいかもしれません。
どんな仕事でも経験を積むことで慣れていきますが、遺品整理士はデリケートな部分が多い仕事なので、遺族の気持ちを考えつつも冷静に物事を判断できる人が向いていると言えます。
遺品整理士の仕事は故人が遺したものの全てを整理すること
遺品整理士の仕事は多岐に渡ります。基本的な仕事は故人が遺したものの全てを整理することです。不要となったものも、故人の愛用品も全て整理します。
自分では価値がないように思えるものでも、遺族にとっては大切なものかもしれません。曖昧なボーダーラインを頼りに遺品を整理しなくてはならないので、仕事をしていくうえでは遺族や故人の気持ちをどれだけ考えられるかがとても大切です。
現代の日本において遺品整理士は価値ある仕事であり、需要もますます増える可能性がありますが、多くの知識や技術が求められるので決してラクな仕事ではありません。
ただ、人のためになるのでやりがいは感じられる仕事です。
資格取得の条件や難易度は高くないうえに、将来性のある仕事なので、興味がある方は養成講座を受講する価値がある資格と言えるでしょう。