取越法要は増えている|繰り上げできる法要、行う際の流れを解説

投稿:2021-12-10
取越法要は増えている|繰り上げできる法要、行う際の流れを解説

時代によって人々のライフスタイルは変化しており、昔からある風習や儀式もライフスタイルに合わせて変化を続けています。葬儀も時代に合った新しいスタイルが誕生しており、それぞれのニーズに合った儀式ができるようになりました。

そして現在増えているのが「取越法要(とりこしほうよう)」です。取越法要とは葬儀当日に初七日法要や四十九日法要など、忌日に行う法要も済ませるスタイルで、幾度にも渡って供養のために遺族や弔問客が集まることが難しい現代で増えている選択肢です。

取越法要で繰り上げできる法要と、執り行う際の流れを解説します。

取越法要で繰り上げできる法要とメリットとは

取越法要は「とりこしほうよう」と読みます。以前からあるスタイルではありますが、需要が高くなり現在増えてきました。

そもそも取越法要とはどのような法要なのか、繰り上げできる法要やメリットを解説します。

取越法要とは葬儀当日に忌日法要を繰り上げて行うこと

取越法要とは、初七日や四十九日などの忌日法要を葬儀当日に繰り上げて行うことです。

現代のニーズに合った新しいスタイルの法要と言われていますが、もともとは全国区の風習ではなく、北海道や青森県などで行われている風習でした。

「取越法要」と「繰り上げ法要」の違いはどこまで繰り上げるのか

「繰り上げ法要」とは、初七日などの忌日法要を葬儀当日に行うことです。

「取越法要」は四十九日法要や百箇日法要までを葬儀当日に済ませてしまうことのため、どこまでを繰り上げるのかという点が異なります。

取越法要は遺族や弔問客の負担を減らすメリットがある

法要を営む際は、別居している遺族や弔問客を都度招待する必要がありますが、取越法要なら葬儀当日に全て終わります。

取越法要には法要の度に招待したり、足を運んだりする必要がないため、遺族や弔問客の負担を軽減できるのがメリットです。

もともと取越法要の風習があった北海道や青森県などの雪国では、遺族や知人が遠方に住んでいるケースが多いため、仕事の関係や体調、金銭面などの問題で法要の度に往復することが困難でした。そのため、葬儀当日に繰り上げて行う風習ができたと言われています。

取越法要で繰り上げできる法要は百箇日法要まで

本来なら忌日法要は、命日から7日ごとに行われます。

しかし、遺族や弔問客の負担が大きいため、近年では初七日法要や四十九日法要などの大きな法要のみを行うのが一般的になりました。

そして、取越法要で繰り上げできる法要は四十九日までの忌中法要と、命日から100日後に行う百箇日法要までです。

百箇日法要の後は一周忌、三回忌と年忌法要が続きます。年忌法要は取越法要として繰り上げられないため、繰り上げできる法要は百箇日法要までになります。

どの法要まで繰り上げて執り行うかは、遺族や葬儀社の対応によって違います。葬儀終了後にすぐに初七日を迎えてしまうため、初七日法要を繰り上げるケースが多いですが、近年では四十九日法要まで繰り上げるケースも増加しているようです。

取越法要を行う際の流れと注意点を解説

取越法要を行う際の流れと注意点を解説

取越法要は葬儀当日に法要も行うため、通常の葬儀とは違う流れになります。

取越法要を行う際の流れと注意点を解説します。

取越法要の流れは葬儀社や地域によって異なる

取越法要は葬儀当日に忌日法要を行いますが、火葬終了後に法要を行う流れが一般的です。しかし、地域によっては告別式終了後、火葬前に行うケースもあります。

また、四十九日法要まで取越法要を行う場合、埋葬まで行うケースも多いです。ちなみに、四十九日法要と百箇日法要まで行う場合は、葬儀当日に忌明けとなります。

火葬後に取越法要を行う場合の流れ

まずは取越法要を行う際の、一般的な流れをご紹介します。

  1. お通夜
  2. 葬儀・告別式
  3. 出棺
  4. 火葬
  5. 取越法要
  6. 精進落とし

火葬後に取越法要を行う場合は、火葬場の会場もしくは告別式を行った葬儀場に戻ってから取越法要を行います。

また、四十九日法要や百箇日法要まで繰り上げる場合は、精進落としの前に埋葬まで行うケースもあります。

火葬前に取越法要を行う場合の流れ

火葬前に取越法要を行う場合は、告別式終了後にそのまま葬儀場で取越法要を行います。

  1. お通夜
  2. 葬儀・告別式
  3. 取越法要
  4. 出棺
  5. 火葬
  6. 精進落とし

なお、ご遺骨になった状態で法要を行うのが本来の形式なので、火葬前に行うケースは稀です。

葬儀会社によっては、火葬前に繰り込む形で取越法要を行う流れを想定していない場合が多いので、特別な事情がない限りは繰り込む形での取越法要は避けるべきでしょう。

なお、繰り込む形での取越法要には、火葬後に別の会場を用意したり葬儀場に戻ったりする必要がないメリットがあります。参列者の負担を減らさなければならない事情があるなら、葬儀社に希望を伝えてみるとよいでしょう。

取越法要のお布施は通常の葬儀よりも2万〜3万程度多く包む

本来、僧侶に渡すお布施は法要を行う度に用意する必要がありますが取越法要の場合は、葬儀当日に法要を済ませてしまうので、お布施にかかる費用を抑えることが可能です。

しかし、僧侶の負担や仕事量は通常の葬儀よりも多くなるので、その分お布施も多く包むとよいでしょう。

ちなみに法要1回で包むお布施の金額の平均は30,000~50,000円程度なので、取越法要を行う場合は20,000~30,000円程度多く包むのが一般的です。

なお、ある程度目安がわかる場合や地域で決まりがある場合は、目安や決まりに従ってお布施を包んでください。

取越法要は地域や家庭で考え方が違うので必ず周囲に相談する

現在、取越法要を行うケースが増えており、葬儀社でも問題なく対応してもらえます。

しかし、地域や家庭によって葬儀や法要の考え方が違うので、必ず遺族だけでなく招待する周囲の人にも相談しましょう。

近年では葬儀当日に忌日法要も行うスタイルに関して理解を示す人は増えていますが、やはり本来の形で行いたいと抵抗感を見せる人もいます。

お互いが理解して納得した形で行うべきなので、周囲への相談は忘れないようにしましょう。

僧侶への相談も忘れないようにする

葬儀社が僧侶に依頼する場合は特に気にする必要はありませんが、菩提寺がある場合は事前に僧侶に相談することも忘れないようにしてください。

取越法要を選ぶケースが増えているものの、寺院や僧侶に受け入れてもえない可能性があるため、依頼する前に必ず話を通しておき、理解を得てから正式に依頼しましょう。

取越法要を行っても忌日に故人の供養は行うこと

取越法要で本来の忌日よりも先に法要を行った場合、本来の忌日に改めて法要を行う必要はありません。

しかし忌日は故人の魂の行き先を決める大事な裁判が行われる日であり、生者の供養は故人の徳を積むことに繋がるので、家族だけでも読経したり手を合わせてお参りしたりするとよいでしょう。

取越法要はあくまでも、遠方の親戚や知人に迷惑をかけないように法要を繰り上げるものなので、本来の忌日になにもしなくていいわけではありません。

きちんと供養を行って、故人が極楽浄土へ行けるように祈りましょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
葬儀のデスクは、お葬式に関するよき相談サイトです。
消費者には「分かりやすい 相談役」として、葬儀社さまには「最高コスパの集客方法」としてご利用いただいてます。

おすすめの記事

今月のピックアップ記事