おしきみ(樒)ってどんな植物?特徴や仏教との関わり、実際の使われ方まで解説

おしきみ(樒)ってどんな植物?特徴や仏教との関わり、実際の使われ方まで解説

おしきみとは仏事でよく使われる「樒(しきみ)」という植物のことです。

常緑高木で一年中みずみずしい緑の葉を茂らせ、春になると薄黄色の花を咲かせます。また、とても強い香りが特徴で、花から根まですべてに猛毒を含んでいる危険な植物でもあります。

このように、一見扱いにくいイメージがあるおしきみ(樒)。なぜこの植物が昔から仏事に使われてきたのでしょうか。

樒の特徴や仏教との関わり、仏事で使われる意味や背景を解説します。

樒(おしきみ)の特徴や仏教との関わりを詳しく解説

「樒」と漢字で見ると、なんのことかわからない方もいるでしょう。しかし、「おしきみ」「しきみ」と聞くと、「仏壇に供える葉っぱ」というイメージがわく方も多いのではないでしょうか。

樒は、「しきみ」と読み、仏教と大変ゆかりの深い常葉樹でのこと。仏壇がある場合は、造花の樒を常備している家庭が多いです。しかし、この樒にはどんな役割があるのか、神棚に飾られる榊(さかき)との違いなど、よく分からない方も多いでしょう。

樒と仏教との関り、役目、使われ方、榊との違いを紹介します。

樒の特徴を解説

樒は常緑小高木の一種で、マツブサ科シキミ属の植物です。艶やかでしっかりした厚みの緑の葉が一年中生い茂り、大きいものだと高さは10mほどに成長します。

春になると葉の付け根に蕾をつけ、やがて薄い黄色の花を咲かせます。仏事で使う際は花がついている必要はありません。造花の樒も花がついていないことが多いです。

樒は仏事で使われることから「仏前草」と呼ばれることがありますが、他にも「香の花(こうのはな)」「香芝(こうしば)」「香の木(こうのき)」という別名があります。それは、樒の葉には独特の強い香りがあるからです。

樒(しきみ)という名前には、「悪しき実(あしきみ)」という意味があるという説があります。それは、樒の花や実は人が死に至るような猛毒を持っており、中華料理で使われる八角と見た目が似ているため、危険な毒草に指定されいるからです。

花言葉は「猛毒・援助する・甘い誘惑」。もっとも、花言葉ができる前から仏事に使われていたため、仏事においてはこのことは特に気にされることはありません。

樒と仏教との関わりを解説

毒があるため、扱いやすいとは言い難い樒。何故樒と仏教の関りが深いのでしょうか。

まずその理由に葉っぱの形が挙げられます。樒の葉っぱは、細く長く、卵の先をつぶしたようなアーモンド型です。お釈迦様のいらっしゃる極楽に咲く青蓮華の葉っぱも同じような形をしており、それは仏様の瞳に例えられています。

さらに、樒は青蓮華と同じく、現在のインドである天竺原産です。律宗の開祖である鑑真が日本にもたらした植物でもあります。鑑真は両目が見えなくなりながらも、何度も航海に挑み、6度目にして日本に渡り仏教を広めました。

このエピソードから、樒は仏様の目であり、仏教そのものを象徴していると言えるでしょう。法華経の中でも、樒をご本尊にお供えするというくだりがあり、日蓮正宗では特に樒だけをお供えすることもあります。

また、昔は今のように一年中花が手に入ることはありません。しかし、昔の人もいつでも仏様やご先祖様にお供えをしたかったはずです。樒は一年中艶やかな緑の葉をつけていることから、花の代わりに選ばれたということも考えられます。

現代では造花を使う場合も多いですが、生であっても樒は非常に持ちの良い植物です。花瓶に水を入れておけば数カ月はそのままの状態を維持できます。手間がかからず、その姿や由来から仏事にふさわしいと大切にされてきた植物なのです。

樒は死者を守る役割がある

香りが強く毒性も強いという取り扱い注意の植物である樒ですが、実はその特徴自体は大きなメリットでもあります。

現代では、遺体は大切に安置されますし、日本ではほとんどの人が火葬されるので問題ありませんが、昔は遺体を獣から守る必要がありました。樒の香りや毒を嫌い獣も近づけないのではないかと考えられていたようです。

また、遺体の腐敗臭を隠す役割も期待されていました。

獣だけではなく、目に見えない邪気や悪霊から死者を守るとも考えられており、香りを供えるという文化もあって定着したものと考えられます。

榊との違い

樒のことを神社の神事に使う榊と勘違いすることがあります。確かにどちらも常緑高木で葉の色も艶のある緑ですが、実はその特徴も使われた方も異なります。

樒はシキミ科ですが、榊はツバキ科で、きれいな楕円形の葉が特徴です。樒の葉は波打ったようになっていますが、榊は平べったく葉の向きがそろっています。実際に双方を並べて比べてみると、思った以上に違うことがわかるでしょう。

榊は無臭で毒性もなりません。宗教に関りが深いという点では同じですが、その役割や概念も異なります。榊の葉のとがった先には神様の力が宿ると言われており、神様が降りてくる依り代なのです。

榊は神事のお祓いなどに使われますが、それは直接人が神様に触れ、ご利益を得る行為なのでしょう。

樒と榊はこのように植物としても、その役割としてもまったく異なります。代用はできないので注意しましょう。地域によっては榊しか販売していないことも多いので、樒の場合、造花を購入することが多いです。

樒(おしきみ)の仏事での実際の使われ方を解説

樒(おしきみ)の仏事での実際の使われ方を解説

樒は実際に仏事においてどのように使われているのでしょうか。具体的に使われ方を解説します。

死者を邪気から守る門樒

樒には邪気を払うという効果があるので、関西地方では、葬儀会場の入り口には樒を飾る、門樒という風習があります。「大樒」「樒塔」とも呼んでおり、具体的に飾る場所は玄関やお寺の門です。

また、二天樒といって祭壇の後ろの両脇にも飾ることもあります。この場合は、門樒と二天樒4本の柱でちょうど会場全体を囲う結界になり、それによって死者を邪気から手厚く守るのです。

関東では門樒の風習はあまり見かけませんが、地域によっては花環や献花よりも重要視されており、お供えものの1つとして扱われています。

「関西のお葬式の際は門樒を贈ったほうが良いのでは?」と思う方もいるでしょうが、飾れるかどうかは会場の規模にもよります。まず遺族や会場に贈っても大丈夫かどうかを問い合わせてから贈ることがおすすめです。

門樒以外には、葬儀では仏花、お清め、祭壇にも樒は使用され、関西地方でなくても欠かせないものです。最近人気のある花祭壇の緑に樒を取り入れることもありますし、樒をメインにした祭壇を作ることもあります。

樒をメインにした祭壇は凛々しく、厳かな印象で故人の人柄によってはぴったりという場合もあるでしょう。

樒の代わりとして用いられる板樒と紙樒

「板樒」あるいは「紙樒」という言葉をご存知でしょうか。樒の別名か、樒の一種かと思ってしまいますが、それぞれ別のものを表すので注意が必要です。

板樒なら板に、紙樒に紙に名前を書いたもので、人名とは限らず、団体の名前や会社の名前や所属の名前を書きます。これらは葬儀式場の前に掲げられますが、これらは門樒の代わりです。

門樒はとても丁寧なお供えですが、かさばるので飾れない場合もあります。よって、門樒の代わりとしてスペースをとらずに後にも残らない板樒や紙樒を贈るようにしているのです。

もちろん、地域によって板樒や紙樒の風習がない地域もあります。贈る際は会場や遺族に問い合わせましょう。

まとめ 樒(おしきみ)は仏事には欠かすことのできない植物

樒は日本の仏教と深い関りがあり、様々な意味や役割を持っています。今よりも様々な植物が簡単に手に入らない時代に派生した風習ではありますが、現代でも仏事では欠かせない植物です。

特に門樒の風習がある地域や日蓮正宗では大切にされているので、覚えておくと良いでしょう。

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