故人と対面できる最後の機会であるお別れの儀は「別れ花」を入れて終了となります。別れ花を入れたあとは火葬場へと出棺され、二度と故人の姿を見ることはできません。
別れ花は遺族にとって大切で尊い時間であり、とても大きな意味を持つ儀式です。
別れ花の意味や一連の流れをはじめ、添えるお花の種類と費用相場について解説します。
もくじ
棺の中に入れる別れ花とは
お別れの儀の最後を飾る別れ花。故人と対面できる最後の機会であり、遺族にとってとても大切な時間です。
そもそも別れ花とはどんなお花なのか、別れ花の意味や実際の流れなどを交えて解説します。
「別れ花」は棺の中に入れる花、または一連の儀式のこと
告別式が終わると式場から火葬場へと棺が移送されますが、出棺前に族や故人ととくに親しい人のみが集まり、故人と最後のお別れを告げる時間が設けられています。この時間を「お別れの儀」と言い、一人ひとりが棺の中に花を手向けます。
お別れの儀で棺の中に入れる花が「別れ花」です。また、お別れを告げて花を添えるまでの一連の儀式のことを「別れ花」と呼ぶこともあります。
ちなみに、別れ花で使用されるのは生花で、お別れの儀では生花以外に故人の愛用品や好物、手紙なども一緒に入れることができます。
別れ花は故人の姿を見る最後の機会
別れ花は遺族にとって非常に大切で尊い時間です。別れ花を供えた後は、遺族などによって棺のふたをくぎなどで固く閉じます。固く閉じられた棺はそのまま火葬場へと移送され、骨になるまで故人の姿を見ることはできません。
要するに別れ花は、火葬前に故人の姿を見られる最後の機会であり、遺族にとって大きな意味を持つ大切な儀式なのです。
棺には基本的に供花を別れ花として入れる
別れ花として棺に収める花は、基本的に祭壇に飾られている供花を使用します。そのため、別れ花として新しくお花を用意するケースはあまり見られません。
ちなみに供花は、親族などから送られてきた状態ではフラワーアレンジメントやフラワースタンドの状態になっているので、別れ花を添える前に葬儀場のスタッフなどによってその場で一輪ずつ切られ参列者へと渡されます。
別れ花を入れてお別れの儀が終了する
一般的にお別れの儀は、別れ花を入れて終了になります。お別れの儀の一連の流れは以下の通りです。
- 告別式終了後、お別れの儀に参加されない参列者が退場。
- 棺が祭壇から降ろされ、蓋を開けて故人と最後のお別れを行う。
- 葬儀場スタッフなどによって供花は一輪ずつに切り分けられて配られる。
- お花を一輪ずつ受け取り、喪主から順に故人に近い関係の人から故人と対面しながら別れ花をご遺体の周囲に添える。
- 別れ花が残っている場合は数本ずつ受け取り、すべてのお花を棺に入れる。
- 別れ花がすべて棺に入ったら、蓋をくぎなどで固く閉めて出棺。
なお、告別式終了後から出棺までの時間にあまり余裕がない場合は、遺族や親しい友人だけでなく、葬儀場のスタッフが手伝うケースもあります。
また、祭壇を作らない直葬や火葬式など、簡素な葬儀であっても別れ花を添えるお別れの儀を行うことは可能です。故人と対面できる最後の機会なので、どんなスタイルの葬儀であっても、別れ花の時間は確保してもらいやすいです。
別れ花として添えるお花の種類と費用相場を解説
故人と最後の時間を過ごすために添えられる別れ花ですが、どんなお花が好まれるのでしょうか。
別れ花として添えるお花の種類について、費用相場とともに解説します。
別れ花の費用相場は一対で15,000~30,000円程度が主流
別れ花は祭壇に飾られている供花を利用する場合がほとんどです。別れ花として使用される供花の費用相場は、一対で15,000~30,000円程度が主流。
ちなみに、一対ではなく一基の場合は半額の7,500~15,000円程度が相場で、顔の周囲だけに添える場合は20,0000円ほど、全身に添える場合は60,000円ほどの費用がかかります。
花の種類や量によって費用は変わりますが、供花を送る際は一対で20,000円程度に収まるくらいを目安にするとよいでしょう。
近年では故人の好きなお花を入れるケースが増えている
別れ花として好まれるのは、白を基調にした落ち着いた色の花です。よく別れ花として用いられるのは、菊、百合、カーネーション、蘭、グラジオラス、カラーなど。なお、宗教によって好まれる花の種類や色が違うので、予め確認しておくとよいでしょう。
仏教〜百合・菊・カーネーション・デンファレなど
百合、菊、カーネーション、デンファレが一般的。高級感を出すために胡蝶蘭を入れることもあります。色は白ベースで淡いピンクなどを入れるケースが多いです。
神道〜白い菊や百合など白ベースの花が一般的
白い菊が主流で、百合が使われることもあります。基本的に白ベースでシンプルな色合いの花が供えられ、高級感のある胡蝶蘭などを飾ることはありません。
キリスト教〜カーネーションや百合などの洋花
洋花が主流で、白い菊は使われませんが、小菊やスプレー菊など小ぶりな種類は使われることもあります。カーネーションが百合などがよく使用され、白に限らず色花もよく供えられています。
宗教によって好まれる花の種類や色が異なりますが、最近では故人の好きだったお花を入れるケースが増えているので、あまり考えすぎなくても良いです。
しっかりこだわってお花の種類を選んでいるケースもありますが、基本的には故人の好きな花を選んでも問題ありません。また、色も白をベースにする必要はなく、淡いピンクや紫など入れて華やかに仕上げてもよいでしょう。
赤や棘などがある花は避けるべき
お花の種類や色はこだわりすぎる必要はなく、故人の好きなお花を用意すれば問題ありませんが、別れ花としてふさわしくないお花もあるので、間違えて供花として送らないように注意してください。
避けるべき花は以下の通りです。
- 赤いお花(血液を連想させるため)
- 黒いお花(死を連想させるため)
- 棘や毒のあるお花(触れると危険なため)
- 色の濃いお花(骨に色移りする可能性があるため)
また、参列者の迷惑になる可能性があるため、香りの強いお花もふさわしくありません。なお、故人が生前にどうしても入れて欲しいと言ったお花が避けるべきお花だった場合は、葬儀社に相談してみるとよいでしょう。
別れ花の色や種類は基本的に故人の好みで選んでよい
別れ花は故人と本当に最後の対面ができる機会。遺族にとって非常に大切で尊い時間です。
宗教によって好まれるお花の種類もありますが、近年では基本的に別れ花の種類や色は、故人の好みに合わせて選んでも問題ありません。
避けるべきお花の種類に気を付ける程度で、あまり考えすぎずに別れ花の種類や色を選びましょう。