遺族が選ぶことが多かった遺影写真ですが、終活の一環として40代のうちから自分で遺影写真を撮影しておく方が増えています。
遺影写真はスマホやデジカメで撮影した写真から作成することも可能ですが、一般的には200万画素以上が必要とされることが多いため注意しておかなければなりません。
生前に遺影写真を取る場合の年齢やシチュエーション、注意点などをわかりやすく解説します。
もくじ
終活における遺影写真はいつ撮影したらよいのか
遺影用の写真は、故人が逝去した後に家族が選ぶのが通例でした。
日常のスナップ写真や記念写真を用いることが多いようですが、最近では終活のひとつとして、生前に自分の気に入った写真を撮影することも増えています。
自分で外出できる時期に写真館で撮るのがおすすめ
自分で遺影写真を撮影する場合、いつ撮影するのがよいのでしょうか。
あまり早すぎても、若すぎて本人であることが伝わらなくなってしまう恐れがありますし、具合が悪くなり、動けなくなってからでは撮影に行くことができないと心配になってしまうかもしれません。
なるべく自分で外出できる時期に、写真館や葬儀社で撮影する方法がおすすめです。
遺影写真を撮影するのは、40代からでもかまいませんが、月日が経ち容姿が変わったなと感じたら、取り直すとよいでしょう。
実際に数年に一度、遺影用の写真を撮り直して更新している人もいます。
もし、現在動けない状態であってもあきらめる必要はありません。少し費用が多くかかりますが、外出が難しい方を対象に自宅に出向いて遺影写真の撮影をしてくれる写真館や葬儀社もあります。
なぜ遺影写真を生前に準備したほうがよいのか
遺影は、お通夜までに準備する必要があります。
通常故人が亡くなってから通夜までは1日程度。葬儀社によっては、写真を用意してから数時間で遺影を作成してくれる場合もありますが、あまり時間的な余裕がありません。
大切な方が突然亡くなり慌てて写真を探し、あとから「もっといい写真にしてあげればよかった」と後悔してしまうケースもあるのです。
生前に遺影写真を準備しておくと、故人も御家族もお気に入りの写真をスムーズに遺影にしてもらうことができます。
故人が気に入った写真を選ぶことができるのも大きなメリットです。
遺影写真を撮影するうえで気をつけておきたいポイント
遺影写真を撮影するうえで気をつけておきたいポイントについて解説します。
200万画素以上の画質で、ご本人の顔が親指大以上の大きさの鮮明なもの
遺影写真は、故人の胸から上が額縁に収まるように作成されます。そのため、ご本人の顔を親指大以上の大きさで胸元あたりまで鮮明に撮影することが大切です。
遺影写真は、サイズが大きいため、鮮明に撮影されていないとぼやけた写真となってしまいますので画素数の高いカメラで撮影するとよいでしょう。
その人(自分)らしさが伝わる写真であること
昔は、遺影写真には硬い表情の写真が選ばれていました。しかし、最近では、故人らしさがあらわれている表情の写真が選ばれることも多くなってきています。
その人の人柄が伝わる表情の写真を選ぶのがよいでしょう。
ご本人、ご家族が気に入った写真を選ぶこと
遺影写真は葬儀だけでなく、法要や日常的に仏壇へ手を合わせるときなど、さまざまな場面で目にするものです。生前に遺影写真を撮る最大のメリットは、故人本人が気に入った写真を選ぶことができることでしょう。
しかし、遺影写真を最も目にするのはご遺族です。本人だけで決めるのではなく、遺影写真を最も目にすることになるご家族ともよく相談して、家族が思い出を振り返ることができるようにすることも大切です。
遺影写真を取るシチュエーションも変化している
遺影写真というと、喪服を着ているとイメージが強い人も多いのではないでしょうか。実際に、昔は喪服の写真を飾ることが一般的とされていました。
しかし、喪服の写真を撮っておくわけではありません。ご遺族の方が喪服ではない写真を選んだ場合には、写真店や葬儀社の方が加工して喪服に変えていたのです。
最近では、服装に制限はなく、その人らしさを尊重する方向に変化しています。
自分らしくあればスーツでも喪服でも普段着でもご自身の好きな服装で問題ありません。ただし、帽子やメガネなどの装飾品は身に着けないことが多いです。
顔立ちがわかりにくかったり、影ができてしまったりと、撮影者側から断られることがあります。どうしても服装に迷ったら、比較的地味な色のスーツを着るのが無難でしょう。
遺影写真の撮影時のメイクも、その人らしいメイクをするのがよいとされています。
しかしメイクに自信がないという方は、少し費用がかかりますが、写真店や葬儀社でメイク込みの遺影写真の撮影依頼をすることが可能です。
最近では、遺影写真撮影会というものも開催されています。芸能人やモデルの撮影を行っている有名なカメラマンや、有名なスタイリストが揃い、遺影写真撮影を行ってくれるというものです。
参加者は60歳~70歳くらいの方が増えてきています。
遺影写真の選び方と注意点
遺影写真の選び方と注意点について解説します。
遺影写真のサイズや容量は?
遺影写真の大きさは、祭壇用はA4サイズよりもやや大きめの「4つ切りサイズ(25.4×30.5cm)」、仏壇に飾る遺影であれば、「L判サイズ(8.9×12.7cm)」が一般的です。
ただ、最近では小規模な家族葬も増えており、祭壇用でも、2Lサイズより小さな「キャビネサイズ(11.5×16.5cm)」が選ばれることもあります。
祭壇用の写真は、大きなサイズとなりますので、通常の大きさの写真を引き伸ばす加工をします。小さな写真でも、ピントが合っていて鮮明に写っていれば大きく引き伸ばすことが可能です。
今は加工技術が発達しているので、多少傷のある写真でもきれいに修正してもらえます。遺影写真は、スマホやデジタルカメラで撮影した画像データから作成することもできますが、200万画素以上のものが望ましいです。
最近のスマホやデジカメは、200万画素以上のスペックがあるものがほとんどですが、機種が古い場合は画素数が少なく、画質が荒いため注意が必要です。
遺影写真を写真館におまかせする場合の相場
生前に遺影写真を撮影する場合は、プロに依頼すると安心です。写真館や葬儀社で撮影してもらえます。
最近では遺影撮影専門の写真館もあるほど。生前に遺影写真の撮影をすることが一般的になってきている証拠でしょう。
遺影写真の撮影の費用相場は、プランやオプションによっても異なりますが15,000円~20,000円程度が目安ですが、費用には幅があります。
自分でメイクをしていく場合は、安いところで5,000円くらいから可能ですし、専属のヘアメイクの担当がいるところでは、高額で40,000円くらいかかるところも。
事前に、写真館や葬儀社に問い合わせたり、ホームページなどを確認してみたりするとよいでしょう。
写真館や葬儀社で撮影してもらうメリットは、ヘアメイクなどのオプションが選べることと、ご本人やご家族の希望やイメージを伝えることで、プロの視点と技術でよりその人らしさがあらわれた写真を撮影することが可能です。
写真館や葬儀社によっては、外出が難しい場合は、自宅まで出向いて撮影してくれることもあります。
出来上がりのイメージは、写真館のショーウィンドウやホームページにあるサンプルを参考にして、決めると良いでしょう。
遺影写真の加工、どこまでできる?
写真館にスナップ写真を持ち込み、遺影写真に加工してもらうことも可能です。サイズはもちろん、背景や着せ替えの有無などを選択できます。
スナップ写真は故人以外の人が写っていたり、服装がカジュアルだったりすることが多いので、そのような場合は加工を依頼しましょう。遺影写真の加工に関する費用相場は、6,000円程度から。
インクジェットプリンターで普通紙に印刷した写真は、引き伸ばすと画像が荒く不鮮明になってしまうため、遺影写真には使えません。
また「絹目」と呼ばれる表面がザラザラした加工の写真も、引き伸ばすと網目が強調され凹凸が目立ってしまうので、避けたほうがよいでしょう。
黒髪が黒い背景と同化している写真、故人が他の人と重なってしまっている写真も遺影としての加工が難しいと言われています。
まとめ|遺影写真は日々の写真からお気に入りの一枚を選ぼう
遺影写真は、葬儀のときに祭壇に飾ったり、仏壇に飾ったりと、ご遺族が故人に手を合わせ故人との思い出を振り返るためにもとても重要なものです。
できるだけ、その人らしさが表現された、故人本人もご家族も気に入った写真を選ぶとよいでしょう。
そのためにも、遺影写真の生前撮影をしておくと万が一のときにも慌てることなく、お気に入りの写真を遺影写真として使用することができるので安心です。