曼荼羅(まんだら)の種類と宗教的意義|日本での曼荼羅の名所を紹介

曼荼羅(まんだら)の種類と宗教的意義|日本での曼荼羅の名所を紹介

寺院を訪れたときなどに見ることがある曼荼羅(まんだら)は、密教で修行のために生まれた絵で、実に数百にものぼる種類が存在しています。

難解で迫力があり、非常に細かく描かれているので、アートとしても世界中で親しまれている曼荼羅。日本では国宝や重要文化財に指定されている曼荼羅も数多く存在します。

そもそも曼荼羅とはどのようなものなのでしょうか?

曼荼羅の宗教的意義とともに種類を解説し、日本で曼荼羅が見られる名所を紹介します。


曼荼羅の種類と宗教的意義を解説

曼荼羅は仏教の世界を視覚的に表現したもので、日本だけでも何種類もの曼荼羅が存在しています。

細やかで迫力があり、アートとしても親しまれていますが、そもそも曼荼羅とはどのようなものなのでしょうか?

曼荼羅の宗教的意義と、日本でよく見られる種類について解説します。

曼荼羅とは悟りを開くために生まれた図像

「曼荼羅」とはサンスクリット語で「丸いもの」という意味があります。本質や神髄を意味しているとも言われていますが、実際はただ単に図柄を表現しているだけという説が有力です。

曼荼羅は密教で悟りを開くために、修行のツールとして生まれました。密教とは大日如来を本尊とする仏教の流派のひとつです。

原型となっているのは、インドのバラモン教やヒンドゥー教の宗教儀礼。幾何学模様や髪の姿を描き、あらゆる神を招いて供養するとともに祈願していました。そしてこの儀礼が仏教に取り入れられるようになりました。

曼荼羅は非常に細やかに描かれていますが、見た目通り多くの要素と意味を持っており、空間や領域、場を表しています。要するに、世界観が示されているということです。

言葉で伝えられる仏教の教えを「顕教」と言う一方で、曼荼羅は言葉だけでは伝わらない物事の真理や、仏の道を示しています。言葉は読まなければわかりませんが、図像なら直感的に悟れます。

直感的に悟れること、そして師匠から弟子へ口伝や体験を通じて教えが受け継がれることが多いのも密教の特徴です。

ちなみに曼荼羅を表記する漢字には特に意味はありません。「曼陀羅」と表記されるケースもありませんが、重要文化財などの指名名称は「曼荼羅」で統一されています。

漢字による表記のバリエーションとして「曼陀羅」があるが、日本の重要文化財等の指定名称は「曼荼羅」に統一されており、葬儀のデスクでも「曼荼羅」と表記します。

日本の曼荼羅は仏教の世界観が示されている

曼荼羅の原型は宇宙感ですが、日本の曼荼羅は仏教の世界が示されています。

幾何学的に構成されていますが、描かれている像は全て正面を向いており、法則や意味に則って表現されています。

例えば、中央に配置するものは大きく、外に向かっていくにつれて小さく描くなどの法則などです。

曼荼羅の種類は時代や宗派によってさまざま

曼荼羅の種類は時代や宗派、国によって異なり、細かいものも合わせれば数百にも登ります。

ただし、国によって大きな偏りがあるため、海外へ行けば日本では見られないような曼荼羅を見ることができるでしょう。

日本でよく見られるのは「四種曼荼羅」とは

日本でよく見られる曼荼羅は大きくわけて4種類あり、「四種曼荼羅」と呼ばれています。

曼荼羅の種類によって描かれているものや意味が違います。

●大曼荼羅
仏様の姿をそのまま描いた、仏の世界を表現した曼荼羅です。全ての曼荼羅の基本となっています。

●法曼荼羅
全ての仏様が悟りに入った状態である「禅定」で描かれているもの。文字で抽象的に書かれることも多く、仏教の真理や知恵を表現しています。

●三味耶曼荼羅
阿弥陀如来を蓮華、宝生如来は宝など、仏様をシンボルに置き換えて描かれたものです。衆生救済や慈愛に焦点が当てられています。

●羯磨曼荼羅
大日如来以外を全て女尊で描いた曼荼羅です。羯磨(かつま)とは業(カルマ)や行為のことで、実際の供養に特化した曼荼羅となっています。

ほかにも日本でもさまざまな曼荼羅を見ることができます。経典や宗派によっても呼び方が異なる曼荼羅があり、曼荼羅は知れば知るほど奥が深いものだと言えるでしょう。

大日如来の知恵や世界を表現した「金剛界曼荼羅」

日本でよく見られる代表的な曼荼羅のひとつが「金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)」です。経典「金剛頂経」に基づき、大日如来のち絵や世界を表現したもの。

ちなみに金剛は硬い金属やダイヤモンドを意味しています。つまり、大日如来の知恵は金属やダイヤモンドのように堅固なもので、何ごとにも屈しないことを示しています。

金剛界曼荼羅の特徴は、月輪を組み合わせた絵柄で、9つの曼荼羅をひとつにまとめた構成になっているところです。なお、別名「九会曼荼羅(くえまんだら)」とも呼ばれています。

悟りの世界を表現した「胎蔵界曼荼羅」

「胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)」は、日本の密教における最も重要な経典のひとつ「大日経」に基づき、悟りの世界を表現したものです。

胎蔵とは、母親の胎内で子供を守って育てるように、悟りの本質も育っていくという意味。
「胎蔵(たいぞう)」は仏の教えが育ち生まれることを、母親の胎内で子供が守り育てられることに例えた言葉です。

中央の赤い蓮の花の中に大日如来や菩薩が描かれています。なお、赤い蓮の花は心臓を表しており、どんな人も仏になる素質を秘めていること、大日如来の慈悲によってその道が開かれることを表現しています。

金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅を合わせた「両界曼荼羅」

「両界曼荼羅(りょうかいまんだら)」は、金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅を合わせた曼荼羅です。

知恵の世界である金剛界曼荼羅と、悟りの世界である胎蔵界曼荼羅は対として扱われています。ルーツ自体も違いますが、大日如来を描いたものであるため、唐の僧によってまとめられ対で紹介されるようになりました。

日本では掛け軸として壁に飾られるケースが一般的ですが、正式には東西にわけてそれぞれ別々に飾ります。ちなみにインドでは東を正面に金剛界曼荼羅、西を正面に胎蔵界曼荼羅を飾ります。

日本で美しい曼荼羅が見られる名所とは

日本で美しい曼荼羅が見られる名所とは

日本にもたくさんの曼荼羅がありますが、実際に一般人が目にできる機会はあまり多くありません。そもそも国宝や重要文化財に指定された曼荼羅は、貴重であるがゆえに所在自体を非公開にしているケースも多いです。

しかし、全国では随時曼荼羅を一般公開している名所がいくつかあります。

日本で美しい曼荼羅が見られる貴重な名所を紹介します。

コレクションが充実している観蔵院の「曼荼羅美術館」(東京都)

東京都にある観蔵院の「曼荼羅美術館」は、慈雲山曼荼羅寺観蔵院の施設として平成14年(2002年)に開館しました。

観蔵院両部曼荼羅を中心に、日本やネパールの仏画、悉曇文字(梵字)の書、ミティラー民俗画などさまざまなコレクションが展示されており、毎年11月には大規模な展覧会も開催されます。

常にコレクションの充実を図っており、仏教の世界に浸れるような、見応えのある名所のひとつです。

曼荼羅美術館
開館時間:毎週土日10:00~16:00(入館は15:30まで)
拝観料:一般500円(10名以上の団体300円)、大学生・高校生300円、中学生以下無料
住所:東京都練馬区南田中4-15-24
アクセス:西武池袋線「練馬高野台駅」徒歩10分、「石神井公園駅」徒歩15分、西武新宿線「井荻駅」徒歩15分

立体曼荼羅が見られる「東寺」(京都府)

京都府の東寺には密教を広めるために建てられた行動があり、立体曼荼羅(羯磨曼荼羅)を見ることができます。

21体の仏像からなる立体曼荼羅は、迫力満点。国宝である東寺を訪れるなら、絶対に見逃せない名所です。

東寺
開館時間:金堂・講堂8:00~17:00(受付終了16:30)、宝物館、観智院9:00~17:00(受付終了16:30)
拝観料:無料
住所:京都市南区九条町1番地
アクセス:JR「京都駅」徒歩15分、近鉄「近鉄東寺駅」徒歩10分

重要文化財の當麻曼陀羅が見られる「當麻寺奥院」(奈良県)

奈良県の「當麻寺奥院」には合計5つの曼荼羅があり、2021年時点で3つの曼荼羅が公開されています。

奥院本堂では「綴織當麻曼陀羅」、曼陀羅堂(當麻寺本堂)では重要文化財である「當麻曼陀羅(文亀本)」、宝物館には県の重要文化財である「當麻曼陀羅(延宝本)」を見ることができます。

重要文化財や国宝に指定された曼荼羅は、非公開になっているケースが多いですが、當麻寺奥院では3つも公開しているので、基調な光景を見ることができるでしょう。

當麻寺奥院
開館時間:9:00~17:00
拝観料: 大人500円、子供250円
住所:奈良県葛城市當麻1263
アクセス:近鉄南大阪線「当麻寺駅」徒歩10分


曼荼羅は仏教の世界を視覚的に表現したもの

仏教とはどのような世界なのか、言葉だけではわからないことも多いです。特に仏教徒でない人にとっては、言葉で理解できないのは当たり前であり、魅力を伝えるには視覚で直感的に悟れることが重要でしょう。

曼荼羅は言葉ではなく視覚に訴えたことで、密教が多くの人に伝わりました。

難解で奥が深く、意味を全て悟れないかもしれませんが、曼荼羅は壮観で魅力的なものなので、仏教に興味のない人もぜひ1度、本物の曼荼羅を見てみてはいかがでしょうか。

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