青森県のお葬式|骨葬と葬儀の特徴、津軽地方と南部地方のしきたりや風習

投稿:2021-11-04
青森県のお葬式|骨葬と葬儀の特徴、津軽地方と南部地方のしきたりや風習

青森県は大きくわけると日本海側の津軽地方と太平洋側の南部地区の2つで、方言も違えば葬儀の習わしも異なります。

地元の言葉でお葬式の事を、津軽地方ではダミや出し焼き、南部の一部地域ではオクリと言い、方言だけではなく南部地方ではまだ古くからの慣習も残っています。

寒冷地に多く見られる「骨葬」などは、他地域の方は戸惑うこともあるでしょう。

青森県特有の葬儀のスタイルと習わし、そしていざと言う時に困らないようにしきたりなどを紹介します。

青森県の一般的な葬儀の式次第と地域別の葬送風習

青森県の一般的な葬儀の式次第は、下記の流れで執り行われます。

  1. 仮通夜
  2. 火葬
  3. 通夜
  4. 葬儀・告別式
  5. 取越法要
  6. 当日納骨

特徴的なのは以下の点です。

  • 葬儀の開始時間は11時~12時の間が一般的
  • 棺に遺族が用意した飯米袋(お米を入れた小袋)を一緒に入れる
  • 取越法要は四十九日または百か日まで行う事が多い

青森県の葬儀で特徴的なものを解説します。

供物のお裾分けをするための巨大な盛籠

県内の葬儀の流れ、骨葬は同じですが、通夜・葬儀に関するしきたりは地域ごとに異なり、中でも南部地方では昔ながらの慣習が多く残っています。

そして青森県の葬儀といえば、豪華な供物。

葬儀に訪れると必ず目に飛び込んでくるのが葬儀会場内に置かれた、アルコールや洗剤などが積み上げられた巨大な盛籠で、青森県での葬儀初出席の人は必ず驚かれます。他地域でもお菓子などが入れられた、同様のタワー型の「三宝盛り」の供物を見かけますがその比ではありません。

地域コミュニティが強く、葬儀の時には近所の人がこぞって手伝ってくれます。そのお礼として、供物のお裾分けがおこなわれるので昔から盛籠に入れられている供物が多いのです。

枕飾りの供物「枕団子」と「あられ団子」

枕飾りの供物の一つ、枕団子(一杯団子)も地方によって異なります。青森県全域で主流なのは、コメを洗わずに粉にしてついた親指大の大きさの団子です。

納骨後、お墓にお茶とお水とお米とともに半紙の上に置いて供えますが、それらは鳥が食べ尽くす事を前提にしており、「もしも食べ残されたら葬式が続く」とのジンクスがあります。しかし最近では墓地の美化と保全のために、供物を持ち帰る事も増えてきました。

下北郡の東通村老部では死者が出ると親族の女性たちが、うるち米で早団子を作ります。死者を「モンジャ」と呼び、モンジャが家にいる間はお皿に平置きしてお供えするのです。

野辺地町では茶碗い盛りますが、それが崩れると縁起が悪いとされ、さらに団子の色が白いと不幸が後を引くと忌み嫌われています。

細かく刻んだ野菜の事をあられといい、納骨後の墓前に供えたり枕団子に混ぜて「あられ団子」(津軽地方)を作る地域も。

津軽地方では主に大根と人参を刻んだものを用いますが、きゅうりの地域もあります。

檀家が強い青森県、葬儀社への依頼と同時に菩提寺へも連絡

青森県は全国の中でも檀家と寺院の結びつきが強い県です。

県全域では曹洞宗や臨済宗といった禅系の寺院が多いですが、青森市は浄土真宗が多くなっています。

葬儀社のホール葬が一般的となりつつある中、今もお寺で葬儀をあげる家が多いです。

青森県全域では火葬を先に行う「骨葬」が一般的

骨葬が始まったのは葬送方法が土葬から火葬へと移った頃とされ、1950年代以降に盛んになったとみられています。

骨葬で弔っていたのは、死を穢れとする思想と、合理性と利便性が理由として挙げられます。

後者はその土地の気候や風土からくる理由です。交通インフラも整っていない時代は特に、積雪などの理由から訃報を知ってもすぐにかけつけることができないケースも多くありました。

火葬を先にすることで往来時間の気にしなくても良いので、遠方の親族が合流するまで待っていられます。

落ち着いて葬儀が執り行えるのがメリットであるのと同時に、葬儀を手伝う人々の拘束時間も短縮できます。

また、火葬前の遺体をナマボトケと呼び不浄のものと捉える地域があり、そこでは寺院や葬儀会場に安置できないとされていました。遺骨であれば、冬季でも自宅や寺院での長期保管ができます。

青森県・東北地方では葬儀当日の納骨が主流  

12月~3月までは積雪のために墓地が閉鎖されている事があり、即日納骨が主流となりました。寒冷地ではよくある事です。

青森県では骨箱や骨壷から遺骨を取り出して、剥き出しのままカロート内に納めます。凍結による骨壷の破壊防止のみならず、骨を土に還すことが自然であるとの青森県の人々の考えに根ざしたものです。         

青森市など津軽地方の葬儀の特徴 

  • 一般弔問は通夜に、葬儀告別式は遺族と近親者のみ
    ※むつ市など下北地域も含む
  • 通夜振る舞いがない、もしくは飲み物やおつまみ程度

むつ市など南部地方の葬儀の特徴

  • 通夜は自宅で行い、一般弔問は葬儀告別式
    ※むつ市など下北地区は除く
  • 八戸市には供物としてお線香の盛籠がある
  • 八戸市では一般の人も新聞に訃報を打つ事が多い
  • 野辺地地区では棺は縁側から出入りさせる
  • 野辺地地区では葬儀終了後に夜の墓参り「野見舞い」を行う(故人の墓)
  • 棺を担ぐ人が出棺前に樽を踏み割ったり草履の紐を切ったりする地域がある

青森県で葬儀に出席する際にあらかじめ知っておくべきこと

青森県で葬儀に出席する際にあらかじめ知っておくべきこと

青森県の葬儀に参列する場合、下記のことを知っておくと良いでしょう。

  • 通夜振る舞いは遺族親族、ごく親しい人のみ
  • 香典は即日返し、後日返しは高額香典の場合
  • 会葬御礼をもって香典返しとする事もある
  • 葬儀はお使いが届いた人のみ出席(地域による)

八戸市ではお花代などを香典とは別に渡す習慣がありますが、任意であって必ず渡さなければならないわけではありません。
※その場合の表書き:火葬前「御悔」/通夜「御香典」/葬儀「御供物料」

あらかじめ知っておくことで、いざという時に慌てずにすみます。

一般弔問|葬儀告別式はお使いが届いた人のみ出席

他地域では、都合に合わせて通夜もしくは葬儀いずれかの出席を決められますが、青森県では一般弔問がいずれかに決まっています。

なお、葬儀の出席者はあらかじめ遺族側によって決められ、お使いと呼ばれる案内状を送る、または届ける地域があります。

青森県の精進落としは会費制である事が多く、また、会食に出るという事は取越法要に出席する事でもあるので事前に案内が届くのです。

通夜に間に合わず葬儀告別式で香典を渡す場合のマナー

一般弔問が通夜である地域で出席できず香典を渡せなかった時は、葬儀に出席して香典を渡します。葬儀後に法要と会食が行われるので、事前に案内をもらっていない場合は葬儀のみで帰ります。

精進落としは会費制の事が多い 

葬儀後の会食に出る場合、届いたお使いの中に御灯明料を入れる専用の封筒が入っている事もあれば、自身で白封筒に入れる、または裸のままで葬儀受付で渡します。

精進落としの会費は、一人10,000円~15,000円が相場です。

八戸市では自宅で通夜を行う場合、通夜の後に3,000円前後の折詰を弔問者に渡す事があります。

その場合、香典とは別に御灯明料として1,000円~3,000円を用意しておくといいでしょう。

葬儀当日に渡す花環または盛籠ポスター

実物の供物や供花では無く、写真ポスターに不祝儀袋がついたものをポスターといいます。不祝儀袋には実際の供花や盛籠の値段と同等の金額10,000円~を入れ、贈られたポスターは葬儀会場内に貼られます。

まとめ|青森県の葬儀には独特なしきたりがあり、他地域から出席する際は確認が必要

青森県は親戚づきあいと地域の相互扶助の精神が強く、自宅葬を行う事が多い地域です。そのため、葬儀は親族とお使いが届けられた人のみという独自のしきたりが今も続いています。

雪深い時期に葬儀を行う事は容易ではなく、遺族のみならず葬儀にかかわるすべての人の負担を軽減するための合理的なしきたりであり、骨葬やポスターも同じです。

葬儀は親族のみで行われる事も多いので、他地域から駆けつける際には日程などを確認する事をおすすめします。

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著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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