滋賀県の湖北地方では骨葬の葬儀も混在|山菓子や粗飯料など滋賀県の葬儀風習を紹介

滋賀県の湖北地方では骨葬の葬儀も混在|山菓子や粗飯料など滋賀県の葬儀風習を紹介

琵琶湖を中心に、湖北・湖南・湖西・湖東の4つの地域から成り立っている滋賀県。

それぞれの地域で気候や風習も異なり、特別豪雪地帯に指定されている長浜市を擁する湖北地方では、葬儀前に火葬を済ませる「骨葬」を行っています。

また、京都府~福井県の鯖街道が琵琶湖側にもあり、近江商人との関わり合いも強かったことで古くから京都の文化風習が流入しました。

たとえば彦根市など湖東地方では粗飯料という、葬儀会葬者にお膳料として2,000円ほどを渡したり、会葬御礼品を山菓子と呼んだりなど、どちらも京都の一部地域に残る慣習です。

また、滋賀県といえば京都府とまたぐように天台宗の総本山、比叡山延暦寺があります。信仰とともに京都の葬送習俗が入ってきたとも考えられます。

現在も多くの葬送習俗が残る滋賀県の葬儀と、地域別の葬儀と慣習を紹介します。


滋賀県の葬儀の特徴

滋賀県は、湖北地方の一部地域で前火葬が行われている以外は「後火葬」で弔います。

県内の寺院数の半数以上が真宗系であり、中部・近畿・北陸地方の中では北陸三県に次ぐ多さ。しかし、寺院数に対しての檀家数が少ないのが特徴です。

檀家数で見ると、天台宗、曹洞宗や臨済宗などの禅系の方がわずかに多く、滋賀県では様々な葬儀の慣習を見ることができます。

特に大津市は「天台宗総本山延暦寺」があり、湖南地方は寺院数ともに天台系が多い地域です。山間部や農漁村地域では寺院、葬儀ともに真言宗が多い傾向にあります。

天台宗の葬儀において、遺族親族のみならず会葬者全員による「弔い」は故人の「功徳」になると考えられています。功徳は成仏するために必要なもので、会葬者が多ければ多いほど善いとされています。天台宗の葬儀に会葬者数が多いといわれる所以です。

滋賀県の葬儀の傾向

滋賀県の都市部、そして守山市で小規模な葬儀である「家族葬」が急速に増えています。滋賀県は進学で県外に出ても再び地元に戻ってくる人が多く、他地域と比べても働き手世代が多く出生率も高い県です。

滋賀県庁:滋賀県なんでも一番

しかし、核家族が多い都市部では、慣習などが継承されず簡素化された葬儀が選ばれることが増えてきました。

郊外では製造業や農畜産業が盛んであるため、家族葬よりも規模の大きな一般葬が主流です。

通夜振る舞いは基本的には親族または葬儀の手伝いの人のみで行いますが、葬祭業者の葬送儀礼が浸透しつつある都市部などでは、一般会葬者にもオードブルやお寿司といった気軽につまめる軽食が用意されることもあります。

山菓子やぜいたく煮など隣接する県の文化を共有

滋賀県は、「福井県・京都府・岐阜県・三重県」、それぞれ隣接する県の文化風習を共有する側面も持ちます。

例えば湖北地方の郷土料理で葬式の際にも必ず作られていた、たくあんの煮物である「ぜいたく煮」。京都府と福井県では「大名煮」との名で、現在でも郷土料理として愛されています。

また、茶の子・粗供養など地域によって名称が異なる会葬御礼品ですが、滋賀県では「山菓子」と呼ばれることがあります。

読んで字のごとく、山菓子はお菓子の詰め合わせの袋や箱菓子、または京都と同じく1,000円の商品券のことです。

滋賀県の地域別、特徴的な葬儀の慣習

滋賀県の地域別、特徴的な葬儀の慣習

湖北・湖南・湖東・湖西、それぞれの地域で異なる葬送習俗を持っています。

中でも京都と同じ風習を持つ地域が多くです。これには、地理的に京都とも繋がっている天台宗の総本山、比叡山延暦寺があることが理由として挙げられます。

そして「近江商人」、人の往来とともに京都の風習も入ってきました。

地域によって枕飾りに供える枕団子の数が違います。ただし、浄土真宗では枕団子・枕飯といった食べ物の供物は用意しません。

湖西:六団子または三団子
湖東・湖南:四団子

湖北地方の葬儀風習|長浜市・米原市

湖北地方は比較的浄土系、とりわけて真宗大谷派の寺院が多いです。

止むを得ず友引の日の葬儀をおこなう際は、一緒に連れていかれることのないよう友引人形を棺に納める慣習があります。

忌中は仏壇・墓前に供える花は生花ではなく、樒(しきみ)を用いるのが一般的です。

洗濯団子という、醤油で薄く味付けされたうるち米と餅米を蒸したお団子を、葬儀翌日以降に親族の女性が喪家を訪れて代わりに洗濯をおこなった後に食べる慣習があります。

しかし残念ながら、この慣習も消滅の一途をたどっています。

湖南・湖西地方の葬儀風習|大津市や甲賀地域など・高島市

湖南と湖西地方は比較的、天台系と曹洞宗や臨済宗などの禅系が多い地域です。

大津市などの湖南地方では、葬儀の会葬御礼状に添えて山菓子とよばれるちょっとしたお菓子などが渡されます。京都奈良の一部地域にも同じ慣習があります。

自宅葬の場合は、僧侶の出入り、そして出棺は「坊主口」と呼ばれる仏間のある縁側から行います。

湖西地方では、棺を頭側から霊柩車に乗せることが多いです。

土葬時代から受け継がれている慣習で、出棺の際、故人の顔を家側に向けます。あえて未練が残るような方法で家(この世)から遠ざかる光景を直視させ、あの世にゆくことを悟らせているのです。

愛用の茶碗を割って故人のこの世に対する未練をきっぱりと断ち切る儀式と比べると、情緒的な慣習だと言えるでしょう。

湖東地方の葬儀風習|彦根市・東近江市

東近江市には浄土系の寺院が多くありますが、天台宗と臨済宗など禅系の寺院も多くあるため古くからの葬送習俗今なお残っています。

葬儀に、雷鳴とともに妖怪カシャが現れて死者をさらってゆくとの伝承があったことから、魔除けとして故人の胸の上に鎌など刃物を置いたのがはじまり。現在でも守り刀の葬具として残っており、葬儀の日に雷が鳴るのを嫌うのもこの伝承があったためです。

出棺前に門火を焚く、または半分燃した藁の上をまたいで棺を担いで出る慣習があります。また、故人愛用のお茶碗を割る慣習も。

彦根市では葬儀前に棺の前に親族が集まって集合写真を撮ります。

基本的には友引を避けますが、友引に葬儀を行う場合は夕方、もしくは棺に友引人形としてこけし人形をいれる風習があります。

浄土真宗の通夜・葬儀には、講の人たちによるお念仏や御詠歌の詠唱がおこなわれることが多いです。

故人の代わりに善光寺参り|善光寺信仰

長野県にある善光寺は、昔から宗派を超えた念仏信仰の拠点として人々の信仰を集めていました。

生前に善光寺にお参りに行けなかった人は、亡くなると冥土の旅に行く前に善光寺に行くと考えらていた時代もあるほどです。

善光寺信仰がある家や地域で、枕団子を早く供えるのはそのためで、お弁当として、枕団子を4個用意します。

さらに、行ったことのない故人のかわりに、遺族は位牌を持って四十九日から一周忌の間に善光寺参りを行う習わしもあります。

葬儀の夜におこなう開蓮忌

葬儀があった日の夜に親族や近所の人たちなどが故人宅に集まって、死後三日目におこなう法要、「開蓮忌」を執り行います。

現在では多くの地域で省略されている「曹洞宗と臨済宗の法要」ですが、湖東地方のコミュニティの繋がりが強い地域では欠かせない供養です。

開蓮忌では、あの世で故人が苦しまないように集まった人々がお念仏や御詠歌を詠唱して追善供養をおこないます。

また、長い数珠を幾人もの人々が持って念仏を唱える百萬遍念珠追善供養をおこなう地域もあります。

会葬者に配られる粗飯料|彦根市

通夜振る舞い、または葬儀後の精進落しに出席しない人全員に、いわゆるお膳料として2,000円程を渡す慣習が残る地域があります。僧侶、葬儀の手伝いをした人にも渡します。

この粗飯料の慣習は京都府の一部地域にも残っているものです。


まとめ〜滋賀県の葬儀は葬送儀礼も含め昔からの慣習が多く引き継がれている

滋賀県は都市部のみならず、伝統産業・農業等の家業を継ぐためにUターン者が多い地域です。

神社やお寺を中心とした、畜産業含めた農業を営む古くからの集落が多く、現在でもそれら町村内にはさらに細分化したコミュニティである班や隣組、そして同じ信仰や共通の習い事を中心としたグループである講中の活動が盛んに行われています。

それらコミュニティを通じて、その土地の葬送を含めた慣習が継承され続け、今なお多く残っているのです。

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