東京都のお葬式|火葬代が高い?|島民が僧侶代わりの青ヶ島と東京諸島の葬送習俗

投稿:2021-05-12
東京都のお葬式|火葬代が高い?|島民が僧侶代わりの青ヶ島と東京諸島の葬送習俗

東京都は日本の首都であり、多くの人や物が日々忙しく行き交う世界有数の大都市です。そのライフスタイルに応じて葬儀も簡潔かつ合理的な形へと変化し、それは今や密葬の新しい形家族葬として東京をはじめ日本全国に浸透しつつあります。

しかし、都内23区は火葬費用が高いため、葬儀は簡素化できても費用総額が安価になるわけではありません。

都内23区・都下でも、今なお地域共同体による葬儀の手伝い、そして昔ながらの葬送儀礼で葬儀が営まれている地域もあります。

また、東京都内には伊豆大島などの諸島地方も含まれます。その中の一つ、青ヶ島には葬儀社も僧侶もいないため、現在でも島民あげての葬儀が営まれています。近年まで土葬、そして洗骨がおこなわれていました。

東京都、そして独特の習俗が残る東京諸島の葬儀の特徴と慣習を紹介します。

東京都の葬儀の特徴を紹介

東京都は、一般的な「後火葬」でご遺骨は全骨収骨、骨壷は7寸を用います。

企業の経営者や役員、著名人が多い地域性から、密葬を行ったのちに本葬(社葬)が執り行われることも多いです。

一般の葬儀は火葬場が併設された葬祭場で執り行われることが多く、次いで公民館、そして寺院。自宅で営まれることはごく稀です。

23区内の多くがコンパクトかつ簡素化された葬儀が主流ですが、地縁の強いところでは今も地域の人々が葬儀の手伝いをおこないます。

一般会葬者は、葬儀よりも通夜に左列することが多いです。

初七日法要は当日に行うのが主流ですが、23区の場合は葬儀告別式後に行い、出棺します。

一般会葬者への通夜振る舞い

通夜でお焼香を済ませた後は別室にて、通夜振る舞いのお寿司やオードブルをいただきます。お酒を酌み交わしながら、故人を偲ぶ大切な時間です。

他地域でもお寿司を振る舞うところはありますが、助六や精進寿司であることが多く、東京で初めて通夜振る舞いを受けた他地域の人は、生魚を用いた通常のお寿司に驚かれるようです。

また、火葬中にお斎が振舞われることもあります。ただし火葬が夕方の場合には軽食、もしくはおつまみやお茶菓子程度。

葬儀後の精進落としは懐石料理のお弁当やレストランのコース料理、中にはビュッフェスタイルで行われることもあります。多様性を持つ東京ならではとも言えるでしょう。

都下でも懐石料理や仕出し弁当など、比較的豪華な料理が出される傾向にあります。

東京都および東京諸島の葬儀の慣習を紹介

東京都は他地域からの移住を含めた転入者がもっとも多い都市であることから、葬儀ではそれぞれの出身地の慣習が見られることもあります。

青梅市など一部地域には、出棺の際に葬式饅頭を配る、または食い別れの儀式の名残で葬儀前におはぎをいただく慣習。納棺後のお清めの儀式として豆腐一丁を回し食べて日本酒をいただく慣習もみられます。

また練馬区など23区内でも、出棺前の茶碗割りを見ることもあります。

葬儀で記念撮影

通夜または出棺前に親戚一同、棺の前に集まって記念撮影が撮ることがしばしばあります。葬儀での記念撮影は他地域出身者の葬儀であることが多く、かつて気候や地理的事情から往来が厳しかった地域などに、現在でも残る葬儀の慣習の一つです。

交通網が発達した現在であっても、生活スタイルや地理的事情などからたやすく集まることができないこともあります。親族が一堂に会する葬儀の場は、互いの近況を報告する場とも言えるでしょう。

また昨今では地域にかかわらず、葬儀プランのオプションとして写真撮影を設けているところもあります。

今も家単位で残る俗信

東京都内にも、わずかながらも葬儀に関する俗信が残っています。たとえば、妊婦は火葬場へは同行させないなどの俗習。主に家単位で残っているものです。

火葬場の多くが友引を休館日にしていることもありますが、友引に葬儀を避ける傾向があります。

その一方、六曜に関係なく稼働している所では年々友引の日の稼働率が上昇しており、待つことなく火葬をおこないたいと考える人が増えていることがわかります。

伊豆諸島および小笠原諸島の葬儀

小笠原諸島父島・母島、伊豆諸島北部地域の大島・三宅島などには斎場と火葬炉が併設されており、葬送儀礼は本土と変わりません。

町や村から葬儀が出た時は宗派にかかわらず、その地区の人々が総出で葬儀の手伝いをします。

諸島地方には浄土宗の寺院が多く、葬儀も浄土宗にて執り行われることが多いです。

通夜には、寿司ネタをヅケにしてわさびの代わりにマスタードを乗せていただく、郷土料理の島寿司と焼酎が振舞われます。

八丈島・青ヶ島では、喪家に泊まる場合は七日間滞在しなくてはならないとのしきたりがあり、たとえ島外で家庭を持つ子供であっても例外ではないようです。

またこの二島では、近年まで洗骨がおこなわれていました。

伊豆諸島|八丈島

伝統文化の一つである八丈太鼓の関係者の葬儀では、太鼓によるお見送りが行われることがあります。

また今もなお慣例通り、通夜の後の酒席での男女同席を禁じる地区も。

八丈島は各宗派の寺院がありますが、中でも日蓮宗が多く、八丈島・青ヶ島では法華経の信仰が浸透しており、通夜や法要の際にお題目、南無妙法蓮華経を唱えます。

伊豆諸島|青ヶ島

日本一人口が少ない村、青ヶ島村には葬儀社がないため地元の人々によって自宅葬が営まれています。また火葬場もありません。

島唯一のお寺が浄土宗のため、葬儀は浄土宗の宗儀にて執り行われますが、常駐の僧侶がいないため住民たちが念仏和讃を詠唱し、仕出し屋もないことから精進料理などは女子衆が作ります。

葬儀後から49日までの間、七日ごとの忌日法要も住民たちによる和讃でおこなわれ、それ以外でも毎日のように村の人たちが代わる代わるお念仏を唱えたり様子を見に訪れます。

位牌には袋が被せられたままで、49日までの忌日法要ごとに少しずつ袋を上げてゆき、忌明けとともに取り払います。

島で亡くなった場合は土葬はできますが、今ほとんど行われていません。現在では自宅ではなく島外の病院や施設で亡くなられるので、島に戻ってきた時にはすでに荼毘に付されているからです。

土葬では埋葬してから7年、または15年後に墓を掘り起こしてご遺体を火葬、もしくは洗骨したのち、骨壷に納めて一般的なお墓に改葬するならわしがあります。

与論島や与那国島同様、埋葬の際に焼酎瓶も一緒に納めて洗骨の際に用いて、余った分はいただきます。

東京都の火葬場はほとんどが民営

東京都の火葬場はほとんどが民営

東京23区内に9箇所ある火葬場の内、公営の火葬場はたった2施設しかありません。都内全域では公・民合わせて25箇所、内8箇所は諸島地方です。

施設によって需要が集中することもあり、火葬炉の空き状況で葬儀日程を決めることが多々あります。

よく言われている火葬炉不足による順番待ちよりも、利用希望の斎場と遺族側の日程が合わないことによる待機が多いのが実情です。特に23区内では、土日に葬儀を希望する家が多いためさらに混み合います。

八王子市では近年、空き待ちの状況が発生しているようです。
※平均2~3日程、ただし時期等にもよる

理由としては、晩年に移住してくる人の割合が多く高齢化率が上昇傾向であるためです。

東京23区では都営であっても火葬代が高い

都営の瑞江葬儀所で火葬をおこなうと、火葬代は都民の場合61.000円(7歳~)。

そして港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区の4区が共同運営する臨海部広域斎場組合では、4区の住民は40,000円(12歳~)。

葬祭費申請で7万円支給されるため負担額は下がりますが、全国的に見てもかなり高額です。

23区以外では、大島町は住民50,000円(12歳~)、小笠原村で28,000円(12歳~)。

青梅市、立川市・昭島市・国立市、日野市、八王子市、府中市、町田市では市民は無料です。

民営の火葬室使用料金は、火葬炉がある部屋が個室であるかどうかの違いなどで2~3種類あります。

実際は最上等とよばれる一般的な火葬炉の利用者が多く、料金は53,100円~75,000円です。※いずれも7歳以上

まとめ〜東京都は合理的な都市型の葬儀の先駆けとなる地

東京都で合理的かつ簡素化された葬儀が多いのは、転入者数が人口の50%近くまで増加しているからです。つまりは、血縁・地縁のしがらみがない人の数とも言えます。

縁が浅ければ浅いほど、簡素化は進んでいくでしょう。

それでも半数以上は代々その土地に暮らす人々であり、浅草の三社祭などの伝統的なお祭りや工芸品、しきたりを継承しているところでは地域コミュニティも関わる伝統的な葬儀が行われています。

簡素化されたシステマティックな葬儀の中にも人情味を感じさせる、会葬者への通夜振る舞いや精進落としなど、しっかりと礼を尽くす一面を持つのが東京の葬儀の特徴です。

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地域別の葬儀のマナーやお葬式のしきたり

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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