群馬県のお葬式では香典を多く包むと困惑される?新生活運動と参列者に負担が少ない葬儀

投稿:2021-12-06
群馬県のお葬式では香典を多く包むと困惑される?新生活運動と参列者に負担が少ない葬儀

「お葬式=ジャンボン」、群馬県だけでなく栃木県でもかつてそう呼ばれていました。シンバルなどを派手に鳴らしながら、そして花籠を揺らして小銭を撒いて歩く野辺送りから生まれた言葉です。

みどり市など埼玉県・栃木県に接する地域では葬儀に用いる回転灯籠をぼんぼりと呼ぶなど、各県の言葉や習わしが混在するのは5県と接しているのが背景なのではないでしょうか。

新生活運動が浸透するにつれて葬儀は小さくなり、昔ながらの習わしは一部地域に残す程度となりましたが、同時に新たな慣習も生まれました。

「香典は新生活で」、他地域では馴染みのない群馬県独自の葬儀のマナーと、今も残る風習を紹介します。

群馬県に見られる葬儀の慣習

喪家も出席者も、負担がかからないよう配慮されているのが群馬県の葬儀の特徴です。

昨今では家族葬や直葬といった小さいお葬式が増えていますが、葬儀から華美を取り払ったミニマムな冠婚葬祭を新生活運動の名の下に先取りしていたのが群馬県であるといえるでしょう。

長野県寄りの地域では前火葬、骨葬をおこなう

長野県は前火葬の骨葬が主流であり、群馬県内でも長野県に近い地域では同じく骨葬がおこなわれています。通夜は身内のみ、一般弔問客は葬儀告別式に訪れるのが通例です。

通夜振る舞い、精進落としは親族だけの事が多い

群馬県内の多くの地域では、通夜振る舞いや精進料理は本来、親族と隣組の人たちにしか振る舞われませんでした。葬儀社による葬儀が浸透し、現在の形式の通夜振る舞いが生まれたのです。

こうして都市部では通夜振る舞いの習慣ができ、中にはお酒やおつまみといった簡易的な物を通夜の席で渡すケースもみられるようになりました。

群馬県と長野県に残る「隣組」(勝俣班)

隣組(勝俣班)は群馬県とお隣の長野県で今も強く残る、戦時中に作られた地域コミュニティの一種です。戦時中は配給や債券の割り当てから竹槍を使った民間の軍事訓練・防災訓練など、戦時下の地域住民の結束と生活にかかわる活動をおこなっていました。

しかし、隣組にはスパイ発見も兼ねた隣人の監視も含まれており、家庭の事情は全て筒抜け、さらには思想統制なども行われ、軍隊的な連帯責任の考えが住民たちに窮屈な生活を強いらせました。

戦後隣組は解体されましたが、のちに新たに起されたのが現在の隣組です。同じ地域の住民としての連帯感の下に、自治体や町内会の下位として存在しています。例えば集合住宅で組長を置いて自治会活動を行いますが、これも隣組の一つのカタチと言えるでしょう。

隣組は戸建て住宅のある住宅街に多く、葬儀の際は率先して手伝います。

群馬県ではこの隣組が上手く機能している事で、新生活運動が浸透したと言っても過言ではありません。

葬儀の供花を会葬者に持ち帰ってもらう

群馬県内の地域によっては、葬儀に用いられた供花を会葬者に配る習慣があります。会場の出口で直接手渡しか、あらかじめ束にしたものが用意されており、会葬者に渡すというものです。会葬者の自宅の仏壇にお供えくださいとの意味があります。

群馬県内にある独特な葬儀の風習

沼田市周辺では40年ほど前まで、葬儀の葬列で花籠の風習がありました。花籠は全国で見られた習わしで、籠に紙吹雪と硬貨を入れて振りながら歩くと、中身が落ちるようになっています。

この時、僧侶たちによる鼓鈸(くはつ)と呼ばれる鳴り物の音を聞いた子供達によって葬儀はジャンボンと呼ばれるようになりました。ジャンボンの言葉は全国各地にあり、方言が入って多少変わる事もあります。群馬県でも高齢の方々には、昔懐かしい呼び方です。

葬儀でお金を撒く風習は長寿銭が今でも残っています。

枕団子3個と三叉路での儀式

前橋市に吸収された旧・勢多郡では、枕団子の数が3個、お皿も米粉から作る習わしがありました。枕飯は高盛りにして三角形に折られた紙をあてます。

中央が窪んだ水飲み団子と呼ばれるものもあり、団子作りで使った木や竹などを三叉路(三本辻)で燃やし灰にして、その場に捨て置くという独特の風習です。三本の道が交差する場所は、生と死の境目に見立てられていました。

天寿を全うした時の「お祝い」長寿銭

故人が八十八歳以上の場合、会葬者全員に故人名で祝儀袋が配られます。1円玉を除く硬貨や五円玉に水引をつけてお守り風にしたものものが入ったものです。

天寿を全うした故人に肖り長寿のお守りとして人にあげたり、中には長寿銭をためて寺社のお賽銭箱に奉納したりする人もいます。

 
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著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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