神奈川県の葬儀は公営斎場が人気|友引や寅の日といった俗信が強く残る地域

神奈川県の葬儀は公営斎場が人気|家族葬が増えても友引や寅の日といった俗信が強く残る地域

神奈川県は関東平野の南西部に位置し、東京都と接していることで葬祭業者による葬儀が主流となりました。耳ふさぎなどの昔ながらの慣習は残念ながら、あまり見ることはありません。

霊柩車の必要もなく一カ所で葬儀を執り行える、合理的かつ都市型の公営の斎場が神奈川県内にはいくつもあります。そのため、公営の斎場で葬儀を執り行う方が多いです。

葬儀の簡素化は進むものの、神奈川県全域では今も友引の日の葬儀を避ける傾向が強くあり、辛うじて昔ながらの葬儀の慣習が残る地域もあります。

神奈川県の葬儀と、今も一部地域に残る葬送習俗を紹介します。


神奈川県の一般的な葬儀

神奈川県は、前火葬を行う地域も一部ありますが後火葬の葬儀がほとんどです。

東京都と同じく、通夜には通夜振る舞いがあり、誘われたら一口でもいただくのがマナー。ただし、長居はNGです。

他地域に見られる、通夜見舞いや淋し見舞いを別途用意する慣習はありません。

通夜に参列する人が多く、葬儀告別式は特に故人と親しかった人が参列します。

都市部から村社会が消えたことで葬儀に地元の人が関わらなくなり、参列者のほとんどが職場関係である都市的社会となった現在、多くの葬送儀礼が失われました。

特に横浜市や川崎市では東京都同様、町内会など地域がかかわることのない家族葬が主流となりつつあります。

しかし、日柄に関する俗信が県内全域に強く残っているため友引の葬儀を避ける傾向にあり、火葬場も休みです。

首都圏に含まれる都市部では葬送習俗がなくなったものの、神奈川県の一部地域では今も魔除けとして刃物を故人の胸の上または枕元に置く、呪術的な慣習が残っています。

都市部では香典は即日返しが主流

主に横浜市などの首都圏では香典は即日返しが主流で、金額にかかわらず一律3,000円ほどの返礼品が渡されます。

かなり高額の香典をいただいた場合は、四十九日法要後に改めて返礼品を送る人が多いです。

また、受付で本人に見えないところで金額を確認してから、会葬御礼の引換券を渡す場合もあります。会葬御礼は、会葬御礼状に1,000円ほどのお茶や海苔、ハンカチが一般的です。
中には会葬御礼の品物で、香典返しとすることもあります。

従来通り香典返しを忌明け後におこなう場合は、半返しが一般的です。

通夜・葬儀告別式~火葬までおこなえる斎場が多い

大和市にある、大和市・海老名市・綾瀬市・座間市の4市で運営する広域大和斎場組合大和斎場、そして神奈川県内の市町村がそれぞれ運営する斎場が13カ所あります。

それらすべてに火葬場が併設されており、通夜から火葬まで執り行えるだけではなく価格もリーズナブルなため利用者が多く人気です。

ただし、そこで葬儀や会食をおこなう場合は民間の葬祭業者に依頼する必要があります。

神奈川県の葬祭業者は自社の葬儀場を持っていますが、公営の斎場との提携を前面に打ち出しているところが多いのが特徴です。それだけ公営の斎場の需要が高いことがわかります。

公営の斎場は順番待ちとなることがありますが、ネット上で24時間予約状況が確認できるので日程が立てやすいのも人気である理由の一つと言えるでしょう。

神奈川県の地域別で見る葬儀の特徴

神奈川県の地域別で見る葬儀の特徴

昭和のスター石原裕次郎さんの散骨が相模湾でおこなわれたことで、神奈川県には海洋散骨を請け負っている葬祭業者が多くあります。

最近ではヘリコプターをチャーターして、故人が生まれ育った町などの上空を旋回した後に相模湾に散骨する空葬も行われています。

神奈川県は、新しい葬送儀礼と昔ながらの葬送習俗が混在しているのが特徴です。

横浜市・川崎市|火葬場が混み合うため待機時間が長い

神奈川県一位と二位の人口数を誇る川崎市と横浜市は、東京へのアクセスが良好なことからベッドタウンとしても人気があり、人口の流出入が大きいのも特徴です。

川崎市は政令指定都市の中で最も小さいながらも、企業の工場が多くあることで大変豊かな財政を持ちます。東京都の大田区と隣接していることもあり、横浜以上に首都圏の経済と文化が入りやすく、人口に占める若年層の割合が高いのも特徴の一つ。

神奈川県内で人口数がもっとも多い川崎市は火葬場が2カ所しかなく、横浜市以上に火葬場の待機問題が深刻です。

川崎市では遺族と葬祭業者とのトラブルを防ぐため、市側と協力提携を結んでいる団体を紹介しています。
川崎市/消費者支援協定

観光都市である横浜市は、繁華街に近いエリア内にも高層マンションやファミリー向けの住宅が数多くあります。

しかし、川崎市同様人口に対して火葬炉が少ないため、火葬場が混み合い最長で1週間待ちととなるケースも。

川崎市・横浜市ともに、集合住宅や昔からの住宅地では自治会の活動が盛んではあるものの、冠婚葬祭においての繋がりは希薄となっているため都市的社会であり、しがらみのない、葬祭業者による葬儀が主流です。

それでも、長寿を全うした人の葬儀には赤飯を振る舞う慣習が時折見られます。

小田原市・南足柄市の一部地域|前火葬による骨葬

小田原市・南足柄市の一部地域では、前火葬による骨葬がおこなわれています。そして火葬後、同日に葬儀告別式と続けておこなうケースもあります。

葬祭業者は入るものの、今でも自宅や寺院で葬儀が執り行われることが多いです。地域によっては、町内会に葬儀の世話役を依頼します。

首都圏の都市と比べるとまだ昔ながらの共同体が残っており、地域で喪家をサポートしているのです。

特に小田原市は伝統芸能と民俗神道から派生した鹿島踊りなどの民俗芸能が盛んな地域であり、あらゆる慣習が今も残っています。

葬儀に関しては、湯灌や納棺の際に妊婦が同席する場合は鏡を持たせる独特の慣習も残っています。

大和市・綾瀬市・海老名市・相模原市|自宅葬を行う家も多い

農村地区や山間部の一部地域では、隣組といった地域コミュニティが今も根付いており、旧家も多いことから自宅葬が多いです。

今でも納棺の際に、六文銭として5円玉を6枚入れたり、火葬場の往復は道順を変えたりといった慣習を見ることがあります。枕団子を手作りする家もあります。

かつて湯灌をおこなった時、お酒を廻し飲みしてから1本箸で豆腐を廻し食べて最後の人が残りを平らげ、最後に塩で手を清めるという慣習がありました。現在では納棺の際におこなわれています。

友引のみならず、寅の日も葬儀を避けます。

寅は子供思いの動物といわれ、一気に千里走るものの子供を心配してまた千里走って戻ってくる、これは「寅は千里往って千里還る」とのことわざの意味の一つです。

寅の日に葬儀を行うと、故人の魂がこの世に残した家族を思って戻ってきてしまうとも考えられています。

相模原市の下津久井には、土葬時代に野辺送りから戻った人が臼に腰掛けて縁側から家に入った習わしの名残で、臼を描いた紙を縁側に貼ることがあります。納骨の際に墓前に備えた茶碗や皿が早く割れると、故人の来世は安泰であるとのジンクスもあります。


まとめ〜神奈川県は首都圏に含まれる都市以外ではまだ昔ながらの葬儀の慣習が残っている

横浜市や川崎市などの首都圏では土葬の頃にみられた葬送習俗はすっかり姿を消してしまいましたが、他地域では豆腐の廻し食べのように、湯灌の儀式から納棺の儀式へと置き換えられ、形式だけ継承されている慣習もあります。

葬送習俗はその土地の文化や風習に基づいており、それが絶えるということはその土地の特色も失われることを意味します。

それを防ごうと、最近では葬祭業者が地域と協力して葬儀の慣習を復活させたり維持させようとする動きもありようです。

その新しい動きと、代々変わらぬ地縁関係が続いている地域がある限り、神奈川県内に残る葬送習俗が完全に消失することはないでしょう。

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