岐阜県のお葬式・葬儀は隣接する県の慣習が深く影響している|神社数全国5位でも葬儀は仏式

投稿:2021-05-07
岐阜県のお葬式・葬儀は隣接する県の慣習が深く影響している|神社数全国5位でも葬儀は仏式

岐阜県は後火葬が一般的ですが、飛騨地方では前火葬である骨葬をおこなう地域があります。また、関市の一部地域では、近年まで土葬が一般的であった地域も。

岐阜県は東海北陸6県に滋賀県を合わせた7県と接していることもあり、それぞれの地方と慣習を共有しているのが特徴的です。たとえば香典返しにビール券が多いのは富山県、お淋し見舞いは愛知・三重県と同じなど。

北陸に近い大垣市など西濃地方は浄土系、恵那市含む東濃地方は古くから往来があった愛知県尾張地方と文化風習が近く、曹洞宗など禅系の宗派が多く、集落全体が神道のところもあります。

都市型の簡素化された葬儀が広がりつつも、まだまだ地域色を見せる岐阜県の葬儀と慣習をご紹介します。

岐阜県の葬儀の特徴

神社数3,271社、全国5位の多さを誇り、神道の氏子数が比較的多い地域ではありますが都市部などでは仏式の葬儀が圧倒的に多く、神式は山間部に多く見られます。

文化庁/令和2年度宗教年鑑

岐阜県は浄土真宗が多い地域であるため、土葬時代から火葬率が高い地域でした。特に高山市など飛騨地方は浄土真宗が根付いている地域であるため、俗信などからくる特別な慣習などは見られません。

関市、そして瑞浪市など東濃地方には臨済宗と曹洞宗が多く、魔除け刀を故人の上に置く慣習があります。

また、東濃地方には殯(もがり)の観念が残っている地域があり、納棺は通夜の後である昔ながらの葬送儀礼を守っています。
故人の死を確認する意味で一晩布団に安置し、「湯灌ー通夜ー葬儀当日に納棺」の流れです。

各都市部では家族葬が増加、一般葬においては費用を抑える傾向にあります。しかし、最後の人生儀礼である葬儀は手を抜くことなくおこなうべきと考える年代層では、一般会葬者を受け入れる一般葬を選ぶ傾向が強いです。

また山間部では、隣組やその中で組織された葬式組といった地域の人たちが葬儀を手伝う地域がまだ多くあります。

岐阜県の葬儀の特徴を紹介します。

通夜に持参するお淋し見舞い(伽見舞い)

通夜の際、香典とは別にお淋し見舞い、または伽見舞いとしてお菓子、またはお寿司などを持っていく慣習があります。

東海3県・長野県と北陸地方の一部にみられる慣習です。

また、親戚もしくは近しい方が、故人が存命中にお見舞いにゆくことが出来なかった場合、香典とは別にお見舞金を包む慣習があります。金額は1,000円~3,000円程度です。

通夜振る舞いは助六寿司が主流

通夜振る舞いは一般会葬者には振る舞われず、親族、葬儀の手伝いをしている隣組や葬式組の人たちのみにだされます。

岐阜地域では助六寿司が主流です。ただし、一般会葬者には通夜御礼としてお菓子を持たせる地域があります。

岐阜市を中心とした岐阜地域では葬儀開始2時間ほど前に、親族・葬儀の手伝いの人たちで出立ち膳としてお斎をいただきます。

また、通夜振る舞いが通夜前に行われる珍しい地域も。この地域では葬儀終了後に、会葬者におさがりとして供花が配られます。

揖斐郡など西濃地方の一部地域では、六七忌(42日目)までの間に親戚がお菓子や食べ物を持参して遺族のもとを訪れて様子をうかがう慣習が残っています。

葬儀・法事でも出される郷土料理|天ぷら饅頭

飛騨地方では葬儀のお斎などで天ぷら饅頭が出されます。葬儀や法事のみならず、お正月やお祭りの時にも食べられている郷土料理です。

ちなみに、お祝い事にはこしあんが入った紅白饅頭を天ぷらにします。

隣県である長野県の信州地方でも、天ぷら饅頭が葬儀や法事の席に出されます。

香典返しにビール券|東濃地方

岐阜県、特に土岐市や恵那市など東濃地方では香典の即日返しにビール券が用いられることが多く、ビール共通県国内売り上げ第3位です。

かつて冠婚葬祭の引き出物に砂糖が一般的であった時代、この地方でも葬儀の返礼品に砂糖1kgが用いられていました。

しかし、戦後しばらく続いた「砂糖=貴重品」のイメージが薄れゆくと、持ち帰るには重さがある砂糖は山間部では特に敬遠され、次第に手軽なビール券へと変わっていったのです。

山間部では香典金額が一律で香典返しは不要?

都市部での香典金額は全国平均と変わりはなく、香典返しは忌明け後が一般的です。

しかし、都市部を除く、美濃地方や飛騨・高山市飛騨北部などの葬儀では基本的に香典返しを行いません。

香典返しが行われない地域の場合、香典金額が2,000円などと決められており、葬祭業者が介在する葬儀の増加にともないスティックシュガーやお茶、個包装の洗剤など300円~500円ほどの会葬御礼品が渡されます。

地域から葬儀が出されると、各家が過去の香典帳を元にお金を包んで葬儀に参列します。香典返しがないのは、同額の香典をもって貸し借りゼロの相互扶助システムが根付いているからです。

骨壷のサイズは6寸で部分収骨、分骨用用の骨壷を用意することも

岐阜県は、骨壷のサイズが6寸と小さめです。収骨は全て納めるのではなく、部分収骨。ちなみに、骨壷のサイズは愛知県と同じです。

故人が浄土真宗の場合は喉仏を総本山に納めることもあり、その場合は、別途分骨用の小さい骨壷を用意し、お骨を納めます。

近年まで土葬が主流だった集落|関市・旧板取村

関市の旧・板取村地区では、近年まで土葬がおこなわれていました。

最近でこそ葬祭業者の葬祭場、そして火葬場が増えたことでほぼ火葬となりましたが、杉の木、またはヒノキの墓標が並ぶ集落墓地(共同墓地)が改葬されることなく、住宅街の中に今もそのまま残されている地区もあります。

この地域では現在でも土葬が可能であり、今も自宅葬が比較的多いのが特徴です。

葬儀は神式|加茂郡東白川村

葬儀は神式|加茂郡東白川村

岐阜県東部に位置する人口約2,000人の山間の村・東白川村は、明治時代の神仏分離令による廃仏毀釈運動が激しく、村にあった寺院は廃寺となり現在に至るまで寺院が無い自治体です。

そのため、葬儀は神式、神葬祭が執り行われています。

また、恵那市や中津川といった東濃地方は明治時代の廃仏毀釈運動が徹底された地域であり、現在でも集落全体が神道の地域もあります。

お布施とは別に用意する御佛礼とは?|浄土真宗

浄土真宗の門徒が自宅や地元の集会所で葬儀を出す場合、御本尊(阿弥陀如来)の掛け軸や仏具などを手次寺(てつぎでら)、いわゆる菩提寺にお借りする慣習がおもに山間部などに残っています。

返却時にお礼として渡すのが「御佛礼」です。

お布施とは別に御佛礼(ごぶつれい)を3万円~10万円(借りたものによる)を白封筒に包んで渡します。

表書きは中央に御佛礼、続いてその下に喪主名もしくは当家名を記載するのがマナー。

他地域でも、浄土真宗の集落がある山間部や農漁村地域に現在でもみられる慣習です。

まとめ〜岐阜県の山間部では今も地域の人々が携わる昔ながらの葬儀が主流

都市部のみならず郊外にも葬祭業者の葬祭場が増えつつあり、僧侶無しなど簡素化された葬儀、親族のみの家族葬などが選ばれることも増えました。

しかし、近所の方々など一般会葬者を呼ばない葬儀を好まない方向けに、会葬者数が多い家族葬プランを設けている業者が多いです。

高山市などの豪雪地帯、厳しい気候風土を持つ地域では地元の人々の相互扶助精神が強く、葬儀の際も班や隣組などが喪家をサポートします。

特に山間部の奥深いところまでは業者の手が行き届きにくいこともあり、現在でも葬儀には地域の助けが不可欠です。

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著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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