栃木県では訃報をテレビ番組で確認?お水替えや善の綱など栃木県の葬儀慣習を紹介

栃木県では訃報をテレビ番組で確認?お水替えや善の綱など栃木県の葬儀慣習を紹介

栃木県には、葬儀に行くことを「義理にゆく」と言う習慣が残っています。

地域内のつながり、相互扶助の精神が強く、最後の通過儀礼である葬儀を特に重んじる地域です。組や講中による手伝いはもとより、近所の人たちが香典を持って弔問に訪れます。そのため会葬者数が多いことも特徴のひとつ。

近所のみならず知人の葬儀にもかけつける、横の繋がりを大切にする地域性から、訃報は新聞紙のみではなく、地元のとちぎテレビの5分間のおくやみ番組からももたらされます。

ほんの十年ほど前までは土葬がおこなわれていたこともあり、茶碗割りや善の綱といった民間習俗がそのまま受け継がれている地域もあります。足利市には少し変わったお水替えの慣習なども。

供物にぼた餅を塗ったわらじなど、独特の葬送習俗が見られる栃木県の葬儀を紹介します。


栃木県の葬儀

栃木県は葬儀の後に火葬を行う「後火葬」の地域ですが、足利市・下野市の一部地域は、葬儀当日の午前中に火葬、葬儀はお骨の状態で執り行う「骨葬」が主流です。

収骨は全骨収骨し、遺灰も全て集めて持ち帰ります。

栃木市も含め、近年まで土葬が行われていた地域ではお清めに豆腐をいただくなどの、土葬時代から続く慣習がいくつか残っています。

栃木県には踊念仏として知られる、時宗の寺院が多くあり、時宗は浄土宗の一派です。

真言宗と天台宗、ついで曹洞宗が多く、葬儀の際は4~7名ほどの僧侶が儀式を執り行います。そのため、浄土真宗が多い地域と比べると葬儀費用は大きくなりがちです。栃木県の葬儀費用が高い理由の一つでもあります。

しかし、昨今の葬儀の簡素化が全国に広まる中、導師と脇導師の2~3名でおこなわれることも増えてきました。
それでも、葬儀に費用をかけることを惜しまない傾向にあります。

香典返し不要|新生活運動の推進

栃木県では、戦後に全国的に推進されていた生活改善運動が近年再び推奨され、葬儀場では新生活専用の受付をよく見かけるようになりました。中でも足利市は全域に浸透しています。

葬儀場には「新生活」「親族」「会社」の3つの受付が設けられています。

香典返し不要の場合は新生活の受付に出すのがルールです。それ以外の受付に出すと、その場で香典返しが渡されてしまいます。

新生活では、基本的に香典返しはおこなわれません。会葬御礼状とティーパックなどの御礼品は渡されます。

足利市では香典は一律1,000円を推奨していることで、ご近所の方々は1,000円、それ以外は多くて3,000円~5,000円が一般的です。

また、香典袋にはお返し辞退ラベルをあらかじめ表側に貼っておきます。(足利市のHPからDL可能)

足利市:新生活運動の推進

葬儀・納骨式は隣組や班が取り仕切ることも

栃木県は都市部以外では、葬儀は隣組のみ、または葬祭業者と合同で行う地域が多いです。受付や料理等は隣組が用意します。

地域によっては役割分担などの指示が喪家から出されますが、隣組が中心となって行います。遺族には葬儀に集中させてあげたいとの思い遣りと、お互い様の相互扶助の精神によるものです。

葬式に行くことを「義理にゆく」と言います。「義理を果たす」「香典を供えた」という意味です。

棺を担ぐ係|床とり

栃木市大平町の一部地域では、棺を担ぐ4人を「床とり」と呼んでいます。

土葬時代、隣組に作られていた葬式組の中の、墓穴を掘る役目を床とりと呼んでいたのが意味を変えて現在もその呼称が用いられています。

土葬時代、床とりは大変重要な役割でした。

お悔やみ情報が地元テレビ局で流される|とちぎテレビ

栃木県では訃報を地元新聞紙の下野新聞などに載せることが一般的です。

さらに、独立テレビ局である、「とちぎテレビ」が1999年に開局された時から現在に至るまで、月曜日~金曜日の午後9時55分から5分間、下野新聞とタイアップして県内のお悔やみ情報を流しています。

放送開始より高視聴率を保ち続けています。

栃木県の葬儀の慣習

栃木県の葬儀の慣習

栃木県には、出棺の際、故人愛用のお茶碗を割る、紙に書いた六文銭を棺に納めるなどの慣習があります。

短いながらも葬列を組んで野辺送りをおこなう地域があり、その際、善の綱とよばれる民間習俗がみられます。

昔は長い木綿の白布を棺に結びつけていましたが、現在では霊柩車に結んで、それを親族の女性たちが引っ張るように持って先頭を歩くようになりました。

そしてあらかじめ決められていた場所に着くと、布を手放します。この時点で、故人は完全に死者として扱われ見送られるのです。

地方によっては縁の綱とも呼ばれています。

栃木県那珂川町など、出棺の際に参列者が首に白い布を巻き、手の甲に豆腐を一切れのせて食べる慣習があります。どちらも土葬時代に各地に見られた民間習俗で、祓い清めの儀式です。

白は穢れを祓う聖なる色であり、死が感染らないように白いさらしを頭に被ったり首に巻いたり、肩にかけたりします。

祭壇に供えた水を入れ替える「お水替え」|足利市

足利市では、火葬が始まると、炉の前に設置された祭壇にお水を入れたコップを供えます。そして程なくして下げられ、水を入れ替えると再び祭壇へ。これは「お水替え」という慣習です。

かつては火葬終了まで続けられたこともあるこのお水替えは、栃木県以外でも見られた慣習でした。しかし、現在では足利市にしか見られません。

しかし葬儀の形式も多様化した昨今では、この慣習も省略されるとこも増えてきました。

ちなみに、足利市では葬儀後の精進落としを「帰り膳」と呼ぶ地域があります。

わらじにぼた餅を塗る慣習|三十五日法要

栃木県には、お正月やお盆などにご飯の上にこし餡をのせていただく地域があります。

それら地域では、ぼた餅といえば丸めた形ではなく平らに盛った、炊いたもち米の上にこし餡が塗られたものを指します。

そして三十五日法要にはこのぼた餅を、わらじに塗って供えるのが慣習です。

人は死後三十五日目に閻魔様の裁きを受けるとされており、ここでの決定が四十九日目にくだされる次の行き先に反映されます。

そのため、遺族は故人の徳を積み増すために追善供養を行ってきました。同時に故人に元気をつけてもらうために、新しいわらじと杖を添えてぼた餅をお供えします。


まとめ〜栃木県の葬儀費用が高い理由は手厚く見送りたいと儀式を簡略化しないため

栃木県には仏教の各宗派に熱心な檀家が多く、宗儀通りにしっかりと葬儀を執り行う傾向にあります。

一人でも多くの人に出席してもらうことで徳が積まれ、それはそのまま故人の徳に積み重ねられて無事に往生することができる、即往生の浄土真宗を除く他宗派の檀家の中にはそのように考える人が多いです。

最後の通過儀礼である葬儀に出席することは、社会・地域・縁戚など故人との関わりがあった人たちにとって通すべき義理との考えが、そしてこの義理人情は栃木県の県民性ともいわれています。

「義理にゆく」、会葬者数が多い理由はこの言葉につきるでしょう。

全国的に家族葬へのシフトが強まる中、栃木県では都市部を除く地域で般葬が選ばれる理由です。

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